源順の著作『和名類聚抄』をもとに、身体語彙について検討し、平安時代の語彙のあり方を考えるミニレポートです。
平安時代中期、源順によって編まれた『和名類聚抄』を中心に、平安時代の語彙について考えてみたい。
『和名類聚抄』は、漢語を見出しとして掲げ、漢籍を典拠としてその意を示し、相応する和訓を付したものが、意義分類でまとめられた、百科事典に近い国語辞典である。この辞書の、内臓語彙について検討してみたい。
現在、私達が使用している、心臓(シンゾウ)、肝臓(カンゾウ)、脾臓(ヒゾウ)、肺(ハイ)、腎臓(ジンゾウ)等の内臓語彙は、すべて漢語を音読みしたものである。『和名類聚抄』に掲載されている漢語の内臓名の表記は、現在とほぼ同じだが、その読みは大きく異なっている。心臓は、心(ココロ)、肝臓は、肝(キ...