評価B
2013年 民法3 第3課題 B
第1 小問①について
本件α及びβは、「お互いに」「債務を負担する」ような対立する関係にないため、法
定相殺(民法505条)における相殺適状になりえない。しかし、本件合意は、Bに信用悪
化の事由が生じた場合に、債権αに対応するBの債務の期限の利益を喪失させ、かつ、B
のCに対して有する反対債権βの期限の利益をBが放棄するものとして(136条2項)α及
びβに相殺適状を生じさせ、Aの意思表示によって相殺の効力が生じるものとする、任意
相殺予約契約締結の合意と評価することができる。
なお、BのCに対する債権、すなわちCの債務を相殺により勝手に消滅させることになる
が、Cの債務については、「利害関係」を有する第三者はCの意思に反して弁済すること
が許される(474条2項)ことからも、このような任意の契約は認められるものと考える。
なぜなら、Aは、Bの信用悪化による支払能力減退を、CのBに対する債務を消滅させるこ
とによってBに代位して、信用あるCに請求することができるという点で法的「利害関係」
を有するからである。
以上から、本件合意は、任意相殺予約契約では...