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奈良時代の仏教の特質を論ぜよ
日本への仏教伝来については二説存在する。『元興寺縁起』による538年とも『日本書紀』による521年とも言われている。いずれにしても朝鮮半島から諸国に伝播していた仏教にが、朝廷に伝えられ、これが動機となって当時の豪族を二分して争うほどの関心を呼び起こしたこと、そしてやがて古代の氏族制社会が崩壊して律令国家へと転換する重要な契機となったことは重要視しなければならない。しかし、もちろん仏教渡来の初期における一般部族の信仰は、「他国の神」「蕃神」「仏神」であり、『日本書紀』の仏教伝来記に記されているように、「無量無辺の福徳の果報」を将来する呪術的対象であり、僧侶はエキゾチックな呪術者、呪医として迎えられた面も強かった。しかし、聖徳太子の出現は、日本仏教の受容に決定的な性格づけをしたものとして、重要な意味を持っている。『日本書紀』の聖徳太子に関する記事には、多分に釈迦の転用と見られるものや、種々の神話的著彩が施されているものや、太子の著作と伝えられる三経義疏についても、近年問題提起がなされている。聖徳太子が制定した十七憲法にもその色彩は大きくでている。そして、大化の...