法の解釈について、具体的事例を挙げながら論じなさい。
法の解釈とは、実定法に含まれている法規範の意味を明確にすることをいう。
法規範には、その成立時期などにより言葉や文章の意味が不明確な場合があり、また、できるだけ多くの事案に適用されるように、抽象的な言葉が用いられていることが多い。さらに法の欠缺という、事案の解決に必要な法規範が存在しないこともある。そこで、法規範を具体的事案に適用するためには、法の内容を明らかにし、不備や不足があった場合、それを補う必要がある。つまり、法が何を望み、何を排斥しようとしているのかという本質を洞察すると同時に、法的安定性を保ちながら具体的事件を妥当に解決に導くことが法の解釈である。
一九世紀後半は法文の文字の概念だけを精密に分析し確定して、実際の事件に適用しようとする傾向が法学に現れ、その結果、法の適用が社会の実情に合わない場面が数多く見受けられる形となった。これを批判する形で、法文の文字にとらわれずに、自由な解釈ををすることによって、法を社会の実情に合致させようという考え方が台頭した。自然法学的法解釈とも呼ばれるこの考え方は法の適用という点...