2011年度課題レポート・民法1(総則)のものです。
題:権利能力なき社団について
序
権利能力なき社団とは、「客観的にみて法人の実体は備えているが・法人格の与えられていない社団(1)」をいう。では、その法的取扱いを如何に考えるべきか。
本稿では権利能力なき社団の特に法的構成について注目する。法人格が与えられた社団法人と如何なる法的差異があり、その差異はどのようにして補うことになるのか明らかにすることが目標である。
そこで以下の本論では、まず権利能力なき社団の生じる過程を明らかにし(第一章)、次に権利能力なき社団の取扱いについて言及する学説を紹介する(第二章)。そして最後にその学説を具体的に如何に適用するのかを述べる(第三章) 。
第一章:権利能力なき社団の発生
権利能力なき社団を考える際に、そもそも社団とは何を指すか。また、なぜ権利を付与されるのか。この点、憲法21条1項を根拠に一定の目的の下で団体、つまり社団又は財団を結成することは保障される。尚、本稿では財団に関しては必要がない限り考慮しない。
しかし、団体の成立・存続については社会秩序維持の観点から法規制をする必要がある。
そこで、①公益を...