2011年度課題レポート・商法(手形・小切手法)のものです。
題:他人による手形行為
序
本問ではaにより会社Aの手形行為が代理されているが、問(1)の法的評価及び問(2)の場合を如何に考えるか。設問に即して述べる。
第一章:問(1)について
A及びaはBの請求に応ずる必要があるか。
aはAの代表取締役であるので、その権限が問題となる。
この点、代表取締役の代表権は、会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外の行為に及ぶ包括的なものであり(349条4項)、法律効果はAにも帰属すると考えられる。
しかし、aの行為は取締役会の授権を欠いており、その効力が問題となる。
この点について判例(1)は、民法93条但書の類推適用をして、原則として行為の効力は有効であるが相手方が決議を欠くことにつき悪意又は有過失のときは無効であるとしている。
しかし、本件のように取締役会の決議を欠く代表取締役の行為も、代表行為そのものには会社に効果を帰属させる意思が存在しているから民法93条但書の「真意」と表示の不一致にはあたらない。また、例えば相手方にその事実の善意有過失のときまで無効とすることは取引の安全性を害し、不当である。...