そういった事例が示唆するのはどのようなことなのだろうか?
まず第一には、企業の市場シェアや成長戦略に細心の注意を傾けることによって、シェアとい う形で測定された活動の定義が明確に定義されていないのではないか、という疑問を投げかけることになる。
第二には、そういった事例のすべてが示しているのは、ビジネスは範囲という観点から定義されなければならない、ということである。包装事業は缶事業よりも広い、自動オフィスシステムはコピー機よりも広い概念である。また、通信システムは電話機やコンピューターよりも広い概念である。
しかし、この事例だけですべてであろうか。二つの事例 がそうでないことを示している。GMは1920年代の初期において、自社が展開していた自動車事業を、価格と品質に関して同様の嗜好をもつバイヤーをひと まとまりにして各階層のバイヤーのニーズを満たすように製品を差別化していったのである。これが、現在では有名となった、シボレーやポンティアック、オー ルズモビルやビュイック、またキャデラックの始まりであった。比較的標準化された製品であるT型フォードを生産していたフォードは足元をすくわれる結果...