外国人の公務就任権
本稿では、最大判平成17年1月26日(東京都管理職選考受験資格確認等請求事件)の事案・判旨・少数意見を分析することで、わが国の判例法理において、外国人の公務就任権がどのように考えられているか、考察していく。
第1 事案の概要
Y(東京都)の保健婦である大韓民国籍の特別永住者Xは、1994年・95年に課長級の管理職選考試験の受験を、日本国籍でないとの理由で拒否された。Xは①受験資格の確認と、受験拒否による精神的苦痛に対する損害賠償を求めた。
第2 都の管理職の任用制度の合憲性について。
多数意見は、普通地方公共団体が人事の適正な運用を図るため、公権力等行使公務員の職とこれに昇任するのに必要な職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築し、日本国民である職員に限って管理職に昇任することができる措置を取ることは合理的な理由に基づいている、と判示している。
藤田裁判官は補足意見として、在留外国人を任用することが許されない管理職と許される管理職とを区別して任用管理を行うことも選択肢の一つと示しつつ、外国籍の者についてのみ常にそのような特別の人事的配慮をしなけ...