教材98ページの「子曰、巧言令色、・・・」の文章(注も含む)を口語訳し、そこに見える孔子の思想を概観せよ。
<ポイント>
教材の「語釈」や「解説」を読んでまとめること。
<キーワード>
言葉・剛毅木訥・仁
「子曰く、巧言令色、鮮し仁。」を口語訳すると次のようになる。
先生(孔子)がこうおっしゃった。「巧妙な弁舌に感情豊かな表情、そういった人は、見せ掛けだけで本当の思いやりの心が少ないものだ」と。
【巧は、好いということ。令は、善いということ。言葉を好くしようと巧みに操って、表情を愛想よくして、一生懸命に人を喜ばせるためにうわべだけを取り繕おうとすると、お世辞を言われて愛想を示され機嫌を取られた人は、その欲望が際限なく湧いてきて、徳がなくなってしまう。だから、聖人の言葉は切迫したところがない。聖人は余裕をもって言葉を発する。少ないと言うのは、全くないということを知るべきである。学ぶ者がまさに戒めるべきところである。程先生はおっしゃった。「愛想よく言葉巧みに人に話をすることが仁ではないことを知ることは、つまり仁を知ることである」と。】
「巧言」とは「言」(言葉)を巧みに操ることを表し、「令色」は「色」(顔色)を善くすることを表す。「仁」とは、自分自身のあり方やまごころを意味する「忠」と、他人に対する深い思いやりを意味する「恕」を常に相伴った自他に対する偽りなき情愛である。つまり、孔子は...