就労支援の実際の事例を通して、働く事の意味と社会福祉士の役割について述べています。(A判定1847字)
近年、雇用形態の多様化が進む中で、非正規雇用労働者が急激に増加したことにより、働いても生活保護基準以下の賃金しか得られないワーキングプアの問題が社会問題として取り上げられている。また、経済・金融不況は世界的な規模に拡大し、企業の倒産や非正規雇用労働者を中心とした大規模なリストラが相次ぐ中で、失業率が上昇してきた。最近では、働く意欲があっても安定した就労先が見つからないという厳しい社会情勢の中で、最後のセーフティネットである生活保護を利用せざるを得ない状況にある人々も増えつつある。こうした状況のもと、平成19年には、「福祉から雇用へ5か年計画」が打ち出され、福祉事務所とハローワークが連携して公的扶助としての生活保護や児童扶養手当受給者の経済的自立に向けた就労支援を展開してきた。
このような状況を踏まえ、以下に働くことの意味と就労支援における社会福祉士の役割を述べたい。
まず働くことの意味としては、社会学的には、生計の維持、連帯の実現、自己実現の3つにまとめられる。単に生活の維持だけではなく、社会の中で働くことを通して、人や社会と関わり生まれ、生活と就労は切り離せない。
次に就労支援...