紛争や、それにつきまとうジェノサイド、つまり集団的な殺害行為や非人道的行為を解決するために、国際介入はどれほど有効といえるのだろうか。ユーゴスラヴィア内戦における、ボスニアとコソヴォへの国際社会の介入を例に挙げ、その問題点を指摘する。また、ジェノサイド条約が未批准である日本は、今後同条約に批准すべきなのか、批准する場合に議論しなければならない点は何かを考えたい。(本文2758字)
0.はじめに
1.ユーゴスラヴィア内戦への国際介入と紛争終了
1.1.ボスニアの独立
1.2.コソヴォの独立
2.国際介入の問題点
2.1.人道的介入
2.2.紛争終了後の国造り
3.ジェノサイド条約と日本
ジェノサイドの国際介入による解決と問題点
0.はじめに
紛争や、それにつきまとうジェノサイド、つまり集団的な殺害行為や非人道的行為を解決するために、国際介入はどれほど有効といえるのだろうか。ユーゴスラヴィア内戦における、ボスニアとコソヴォへの国際社会の介入を例に挙げ、その問題点を指摘する。また、ジェノサイド条約が未批准である日本は、今後同条約に批准すべきなのか、批准する場合に議論しなければならない点は何かを考えたい。
1.ユーゴスラヴィア内戦への国際介入と紛争終了
1.1.ボスニアの独立
1992年にボスニア内戦が勃発した。ボスニア(当時はムスリム)人、セルビア人、クロアチア人の三つ巴の戦争で、前年のクロアチア独立宣言が発端によるクロアチア紛争が飛び火したのである。クロアチアでの民族主義の高まりの影響を受けたクロアチア人とセルビア人は、ボスニアからの独立を目指して武力攻撃を開始した。
クロアチアは西スラヴォニアとクライナ・セルビア人共和国を武力制圧し、ドイツの後押しもあって1992年に独立が国際的に承認された。クロアチアが武力による「勝利」でクロアチア...