中央大学法学部 通信課程 憲法 2013年 第2課題 合格レポート
憲法 41 条において「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関
である」とされているが、議会が立法権の行使を他の機関(ほとんどの場合行
政機関)による規範定立に委ねることで定立された規範のことを委任立法と呼
ぶ。形式的には「政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則
を設けることができない」と定める憲法第 73 条 6 項但書などに、実質的には行
政国家とも呼称される国家機能の多様化、複雑化という理由から委任立法の存
在自体については「条理上当然に認められるもの」
(芦部信喜・演習憲法243
頁)とその根拠が解されている。しかし委任立法の濫用が議会の立法権を有名
無実にし、ナチスの授権法や日本の国家総動員法などのように、議会の立法権
を放棄させ憲法体制の崩壊をも招来させるに等しい白紙委任が存在した歴史が
あり、委任立法の範囲、限界については慎重な吟味が必要とされる。
委任立法の形式的な限界は、大日本帝国憲法下に見られた、行政機関が法律
の根拠なしに定立する「独立命令」や法律の効力を持つ「緊急命令」のような
命令は、憲法41条の唯一の立法機関性や73条6号から許さ...