PA2030 教育心理学 1 単位目 2012 年度
『教育心理学の最先端―自尊感情の育成と学校生活の充実―』荒木紀幸編(あいり出版)
ピアジェの発達論にもとづいて、子どもの思考の発達について述べなさい。
20世紀において最も影響力の大きかった心理学者の一人であるジャン・ピアジェは人間の思考は、年齢と共に質的に変化すると述べ、認知発達をおおまかに4つの段階に分類してとらえた。それぞれの段階はシェマと呼ばれる一貫した認知構造によって特徴づけられ、ある段階での行動は別の段階の行動とは質的に異なっているとした。ピアジェの発達論を段階的に考察する。
赤ん坊が初めて口に乳房を与えられたとき、生まれつき持っている無条件反射の機構で乳房にすいつき母乳が出る。そこで母乳=乳房という認知構造シェマが成立する。これは観念ではなくただの運動である。ピアジェはこれを感覚運動的シェマとした。次に赤ん坊は乳房以外にも口をつけそれを吸う。これは同化という人間が自分の器官をはたらかせ、自然を自分の中に取り入れるはたらきである。やがてすべてのものが母乳を出すのではないことを認識する。乳房とそうで無いものという2つのシェマが成立する。そこで赤ん坊は同化に失敗するが、調整という同化と反対の面をもつものを生み、さらに次の次元の同化をもたらす。
認知発達の4段階のうちの1つが感覚運動期とした、さらに感覚運動期を6つの段階...