WE1020 法学2(日本国憲法) 2 単位目 2012 年度
『法学』北岡勲・児玉誠著(明星大学)
1.議院内閣制の特色
2.地方自治の意義
①議院内閣制は、18世紀末から19世紀にかけて、イギリス憲政史上において形成された政治制度であるが、その制度の本質は、議会と政府を一応分離したうえで、政府が議会に対して政治的連帯責任を負うことにある。すなわち、国政の円滑な運営を確保しようとするところにあるものである。このような議院内閣制は種々存在するが、アメリカ型大統領制と、イギリス型議院内閣制の2つの側面から考察する。
アメリカ型大統領制とは、政府と議会を厳格に分離する制度である。この制度は政府と議会の共働、依存、抑制の関係を弱くする点にある。まず、大統領は国民から選挙により選出され、閣僚も議員以外から大統領により選ばれる。次に、政府の職員は原則、議会へ出席し圧源することができない。そして、大統領は議会の解散権を持たないが、議会も大統領の不信任決議をすることもできない。最後に、立法権は、議会の専属事項であるため、政府には法律の発案権がない。つまり、アメリカ大統領は権力分立原理を最も厳格に採用した制度である。
イギリス型議院内閣制とは政府と議会を分離しつつ、政府は議会の信任にもとづいて存立する制度である。この制度は政府と議会の...