人事訴訟の家庭裁判所への移管について
背景理由
司法制度改革の一環として、家庭裁判所の機能を強化するため、従来の人事訴訟手続法に代えて新たに人事訴訟法が2003年に制定された。
一つ目の改定点は、一つの家事事件の手続きが家庭裁判所と地方裁判所に分断され、手続き間の連携も図れていなかったが、それを、家庭裁判所の管轄に移すことにしたということである。(離婚、婚姻の取消、子の認知などの人事訴訟事件は、調停前置主義が採られているが、旧人事訴訟手続法のもとでは、家事調停が不成立に終わり、改めて解決しようと訴訟にすると、今度は地方裁判所に訴えを提起しなくてはならなかった。)つまり、これまで地方裁判所の管轄とされてきた人事訴訟を家庭裁判所の管轄に移管して、家事事件の紛争処理を家庭裁判所に一本化することにした。
家庭裁判所は、発足以来、調停・審判という手続きを担当し、刑事では少年事件を扱うという点からも明らかであるが、法的解決というよりむしろ、心理学、教育学などの観点からの解決を主眼とした裁判所であるという特色が強かった。しかし、家事事件が訴訟事件と審判事件と異なる裁判所に係属することが妥当なのか...