「クルド人の歴史と今」
「国家無き民族」と呼ばれる民族、クルド人。われわれは日本という国家を持ち、紛争もなく世界の中でも発展し経済的にも裕福な国に暮らしている。一方、クルド人は独立を目指し、今なお戦い続けている。同じアジアなのに国家の現状も生活環境も全く異なる。「クルド人問題」として日本に情報は流れつつあるが私を含めて多くの人は彼らの事をあまり知らないのではないか。クルド人の歴史的背景や今彼らが置かれている状況を知り、アジアの一員として私達に出来ることがあるのか考えていきたいと思う。
クルド人と思われる人々が歴史上に登場するのはクセノフォンのアナバシスに記録されたものが最初であると言われている。しかし、その起源は明らかとなっておらず、彼ら自身は、自分達は紀元前6世紀の中頃にアケメネス朝ペルシャに滅ぼされたアーリア系の「メディア王国」の末裔だと信じている。人口2500万から3000万人で、宗教はイスラム教スンニ派に属し、インド・ヨーロッパ語族イラン語派のクルド語を話す民族である。クルド人は農業を中心として、羊や山羊などを飼育しながらの半遊牧生活を送っており、定住生活を営むようになってか...