SCMの目的について論じられることが多いが、SCMの本質について論じられることは少ないように感じられる。SCMの目的は業種や企業、また人によって様々であり、例えば、「在庫削減」、「コスト削減」、「生産・輸送リードタイムの短縮」、「スループットの向上」、「利益増」、「競争優位性の確保」などがある。SCMの本質は、筆者は「企業間の需給統合」と考える。
ここで、まずは原田氏が提言したSCMを支える3つの要素 を吟味した上で、筆者がいうところのSCMの本質を再確認しようとする。続いて、近年SCMの成功事例を3つ(トヨタ、デルコンピュータ、ウォルマート)紹介する。最後に、企業間の需給統合とは何かについて、代表的な学者やコンサルタントの所説を踏まえた上で、定義してみると思う。
SCMを支える3要素と企業間の需給統合
SCMの目的について論じられることが多いが、SCMの本質について論じられることは少ないように感じられる。SCMの目的は業種や企業、また人によって様々であり、例えば、「在庫削減」、「コスト削減」、「生産・輸送リードタイムの短縮」、「スループットの向上」、「利益増」、「競争優位性の確保」などがある。SCMの本質は、筆者は「企業間の需給統合」だと考える。ここで、原田氏が提言したSCMを支える3つの要素を吟味した上で、筆者がいうところのSCMの本質を再確認しようとする。
原田氏によれば、SCMは3つの要素から成り立っている。3つの要素はそれぞれ、「チェーンの削除」、「チェーン内の効率化」、「チェーン間のリンク」である。以下の図のように表現できる。
チェーンの強さはチェーンの長さ、太さ、繋ぎ方に依存する。チェーンが長くなると弱い強度のチェーンが介在してくるために強度が弱くなるので、短いチェーンの方が強度は強い。またチェーンが同じ長さの場合には、太いチェーンの方が当然強度は強くなる。さらにチェーンの長さ、太さが同じ場合にはチェーンの繋ぎ方がしっかり...