工学基礎化学実験
吸光度からの酸解離定数の決定
実験目的 紫外(光の波長約400mm以下)・可視(約400~800mm)領域に強い吸収スペクトルを示す弱酸や弱塩基の解離定数は,分光光度計を用いることによって決定でき,実際にpH指示薬の解離定数を分光測定により決定する。
原理
pH指示薬は,それ自体、弱酸または弱塩基でpHが変化すると,解離度が変化して,それにともない,可視領域の吸収帯が変化する。pH指示薬としてメチルオレンジを用いて,酸解離定数を決定する。
実験操作
器具:分光光度計,吸収セル(10),30mlサンプルびん(10),25mlメスフラスコ(6),100mlメスフラスコ(1),10mlホールピペット(1),10mlメスピペット(1),分注器(共通)
試薬:0.2M CH3COOH,0.2M CH3COONa,2M HCl(滴びん),6M NaOH(滴びん),メチルオレンジ(分子量327.3)
メチルオレンジ試料原液:メチルオレンジ0.200gを純水1lに溶解したもの
メチルオレンジ試料溶液の調整
分注器を用いて,メチルオレンジ原液5mlを100mlメスフラスコにとる。純水で標線まで希釈し,液が均一になるようによく混合する。
酸性およびアルカリ性溶液の吸収スペクトル
メチルオレンジ試料溶液4ml,7ml,10mlを25mlメスフラスコ6個にそれぞれとる。3個には2M HClを1滴ずつ加え,残りの3個には6M NaOHを1滴ずつ加える。純水で標線まで希釈し,液が均一になるようによく振り混ぜる。作った溶液はサンプルびんに移し替えておく。
酸性またはアルカリ性溶液のうち,濃度の最も高いものをセルに移し替え,分光器の手前側に試料を入れ吸収スペクトルを350nmから800nmまで測定する。
測定波長の選定と検量線の作成
②で測定した指示薬の酸性の場合,塩基性の場合の吸収スペクトルから,それぞれの吸収極大に近く,かつHA,A‐の吸光係数の差が大きい2つの波長λ1,λ2を選ぶ。 ここで酸性溶液に吸収が強くアルカリ性溶液に吸収が少ない波長をλ1,その逆の波長をλ2とする。
②で調製した指示薬の濃度の異なった3つの酸性溶液について,波長λ1,λ2において吸光度を測定する。濃度と吸光度のグラフを作成し,原点を通り,3点の近くを通る直線(検量線)の傾きからそれぞれモル吸光係数ε1,HA,ε2,HAを求める。同様にして,アルカリ性溶液についてのモル吸光係数ε1,A ,ε2,A も求める。
HA,A-の濃度の決定
CH3COOH,CH3COONaからなる緩衝溶液(Walpole Buffer Solution)は,少量の酸やアルカリなどによりpHがあまり変化しない。この実験では下表のようにサンプルびんに試料溶液を調製する。
表1 緩衝溶液の調整
No. 1 2 3 4 pH 3.1 3.5 3.8 4.1 0.2M CH3COOH 水溶液(ml) 9.70 9.40 8.90 8.00 0.2M CH3COONa水溶液(ml) 0.30 0.60 1.10 2.00 メチルオレンジ試料溶液 10.00 10.00 10.00 10.00
調製した4種の溶液について3で定めた波長λ1,λ2で吸光度を測定する。
4. 実験結果
吸収スペクトル
(a)実験操作②で測定した吸収スペクトルのプリント (b)それぞれの溶液の色、色に当たる波長、吸収スペクトルと溶液の色との関係
酸性溶液の色はピンク色,アルカリ性溶液の色は薄いオレンジ色
工学基礎化学実験
吸光度からの酸解離定数の決定
実験目的 紫外(光の波長約400mm以下)・可視(約400~800mm)領域に強い吸収スペクトルを示す弱酸や弱塩基の解離定数は,分光光度計を用いることによって決定でき,実際にpH指示薬の解離定数を分光測定により決定する。
原理
pH指示薬は,それ自体、弱酸または弱塩基でpHが変化すると,解離度が変化して,それにともない,可視領域の吸収帯が変化する。pH指示薬としてメチルオレンジを用いて,酸解離定数を決定する。
実験操作
器具:分光光度計,吸収セル(10),30mlサンプルびん(10),25mlメスフラスコ(6),100mlメスフラスコ(1),10mlホールピペット(1),10mlメスピペット(1),分注器(共通)
試薬:0.2M CH3COOH,0.2M CH3COONa,2M HCl(滴びん),6M NaOH(滴びん),メチルオレンジ(分子量327.3)
メチルオレンジ試料原液:メチルオレンジ0.200gを純水1lに溶解したもの
メチルオレンジ試料溶液の調整
分注器を用いて,メチルオレンジ原液5mlを100mlメスフラスコに...