工学基礎化学実験 色素
実験目的
典型的な2つのアゾ色素をジアゾ化反応(diazotization)とアゾカップリング反応(azocoupling)を用いて合成し,析出したオレンジ色の色素で試験布に対する染色性を調べる。また,フタレイン色素の1つを縮合反応(condensation)を用いて合成し,けい光を観察する。
実験操作 β-ナフトールオレンジの合成 ① 0.3gのスルファニン酸,0.1gの炭酸ナトリウムを50mlのビー力に入れ,4
mlの水を入れ,加熱しながら溶かす。それに0.1gの亜硝酸ナトリウムを加える。
これに硫酸2mlと水2mlをまぜたものを加え,p-ジアゾベンゼンスルホン酸の細かい白色結晶が析出するまでかきまぜる。
2-ナフトールを0.23g計り,8%水酸化ナトリウム溶液2mlに溶かし,生成したp-ジアゾベンゼンスルホン酸結晶を含む懸濁液をかきまぜながら加えると,アゾカップリングが起こり,オレンジ色素が析出する。
さらにかきまぜ,食塩0.5gを加え溶かす。
充分結晶を析出させてから吸引ろ過する。ろ紙上に泥状の色素が残る。吸引を止める。(ろ過ビン側からゴム管をはずす)ろ紙上の色素に飽和食塩水を適量加え,ろ紙上の色素が乾燥するまで,吸引ろ過を続ける。
0.2%の染色溶液50mlに硫酸1mlを加え,加熱,沸騰させ,その中に布片をゆっくりと入れ,10~15分浸した後,染色された布を取り出して,水で洗い,できた色素の,綿,絹,羊毛に対する染色性を染めて調べる。
フルオレセイン
試験管に無水フタル酸0.1gとレゾルシノール0.1gをとり,3~5滴の濃硫酸を加えて,2分間ほど全体が赤褐色溶液になるまで加熱する。
室温まで冷却し,水5mlを加え,さらに8%水酸化ナトリウム溶液mlを加え,ガラス棒でかきまぜ,できるだけ溶解させる。この液から2・3滴を水10mlを満たした試験管に落として,けい光を観察する。さらに,けい光ランプの光にあてると,けい光が強まることを観察する。
課題
(1)β-ナフトールオレンジの合成 フルオレセイン
(2) 色の染まり方は色の濃いほうから,羊毛糸,生糸,ナイロンフィラメント,レーヨンフィラメント,綿糸,アクリル紡績糸,ポリエステル紡績糸の順番であった。一番濃い色の羊毛糸は赤に近い色で,生糸とナイロンフィラメントはオレンジ色,レーヨンフィラメントと綿糸は薄いオレンジ色,アセテートフィラメントは黄色に近い色,ポリエステルとアクリル紡績糸はほとんど色が付いていなかった。
(3) 色素 物体に色を与える成分。物が色を呈するもとになるもの。 可視光線の一部を吸収し,残りの部分を透過または反射させて色が現れる。
動植物や鉱物に含まれる色素を特に生体色素という。工業的に物に着色するものに色素には染料と顔料があり,特殊なものに食用色素,写真用色素,化学分析用指示薬,生物試験用色素などがある。
染料 繊維や皮革・紙などを染める有色物質。天然染料と合成染料とがある。
おもに繊維の着色に使われている色素。色素が染料となるためには,美しい特有の色をもち,繊維によく染まりつき,さらにその染色が丈夫なことが必要である。古くはアイやアカネなどの天然染料が使われていたが,現在では合成染料が主体。1856年W.H.パーキンがアニリンから赤紫色の染料でモーブを作ったのが合成染料の初めで,今までに合成された色素は数万に達するが,実用になる染料は1000種ぐらいにすぎない。
・染料を染め方で分類
直接染料…………
工学基礎化学実験 色素
実験目的
典型的な2つのアゾ色素をジアゾ化反応(diazotization)とアゾカップリング反応(azocoupling)を用いて合成し,析出したオレンジ色の色素で試験布に対する染色性を調べる。また,フタレイン色素の1つを縮合反応(condensation)を用いて合成し,けい光を観察する。
実験操作 β-ナフトールオレンジの合成 ① 0.3gのスルファニン酸,0.1gの炭酸ナトリウムを50mlのビー力に入れ,4
mlの水を入れ,加熱しながら溶かす。それに0.1gの亜硝酸ナトリウムを加える。
これに硫酸2mlと水2mlをまぜたものを加え,p-ジアゾベンゼンスルホン酸の細かい白色結晶が析出するまでかきまぜる。
2-ナフトールを0.23g計り,8%水酸化ナトリウム溶液2mlに溶かし,生成したp-ジアゾベンゼンスルホン酸結晶を含む懸濁液をかきまぜながら加えると,アゾカップリングが起こり,オレンジ色素が析出する。
さらにかきまぜ,食塩0.5gを加え溶かす。
充分結晶を析出させてから吸引ろ過する。ろ紙上に泥状の色素が残る。吸引を止める。(ろ過ビン側からゴム...