佛教大学Z1307「教科教育法国語」の第2設題レポートです。間違いのないレポートを目指して仕上げました。参考文献を記載しておりますので、ご自身でレポートを書かれる際の参考にしてください。
中学三年生の伝統的言語文化の教材として取り上げられている「平泉」(『奥の細道』,松尾芭蕉)の構造と特質について指摘しつつ教材分析を行った上で、学習指導の方向性について言及し、レポートすること。
1奥の細道について
『奥の細道』は江戸時代前期の俳人松尾芭蕉によって書かれた紀行文集である。元禄二年三月二七日に門人曾良を伴って江戸を出発し、奥羽(現東北地方)・北陸の歌枕や名所旧跡を訪ねて、八月下旬に大垣(現岐阜県大垣市)に至る旅の紀行である。
旅に同行した曾良の日記と比較すると、『奥の細道』は虚構や記事の前後の異同があり、必ずしも事実に忠実な旅行紀とはいえない。芭蕉の理想とする「風雅」の世界が展開されていて、簡潔な和漢混交文で書かれている。また、効果的に対句が用いられ、リズミカルな文体である。
「平泉」で書かれている平泉の地は主要な旅の目的地であった。舞台となる奥州平泉の高舘は源義経の最期の地である。奥州平泉は聡明な藤原秀衡が治める土地であった。平家滅亡後、兄の頼朝と対立した義経は都を追われ、秀衡を頼りこの平泉の地へ身を寄せた。
その後秀衡が死に、息子の泰衡が家督を継ぐことに...