P6103英語学概論の合格レポート第2設題です。設題の難易度が高く、文字数以内に論理的にまとめるのに苦心した自信作です。コメントとして、文献をふまえ適切に論じていると高評価されました。参考文献は学校指定の教科書以外にも3冊の文献を使い、レポートに必要なデータ収集から丁寧に行いました。設題の指示どおりに、データの比較をしながらそれに基づいて論じています。また、なるべく多くのデータを例として示しながら具体的に論じるよう工夫しました。ぜひ参考になさって下さい。
英語と日本語の広い意味での比喩の仕組みを比較対照し、特に両者の共通点に力点を置いて,どの部分がなぜ共通しているのかをデータに基づいて具体的に論ぜよ。
1.比喩の一種としてのメタファー
比喩とは、手元の辞書によると、「物事の説明に、これと類似したものをかりて表現すること」(広辞苑 2007年)とある。「1つの語が2つ以上の意味を持つことはよくあること」(松本 2008年 p.140)であり、ある語が持つ基本的な意味を基盤にして、「基本的な意味とは違う新しい意味が生まれることを、意味拡張(semantic extension)」(141)と呼び、そのプロセスとして「メタファー(metaphor)」という比喩の一種がある。メタファーは隠喩や暗喩とも呼ばれ、一般的な定義は「2つの事物、概念の間に類似性(similarity)が成り立つとき、一方の形式で他方を表現すること」(141)とされている。また、瀬戸賢一によると、「メタファーは、類似性に基づく。より抽象的で分かりにくい対象を、より具体的で分かりやすい対象に《見立て》ること」(瀬戸 1995年 p.204)であり、その身近な例として「目...