1.はじめに
重光葵(1887~1957)は1920年代から戦後の1950年代まで活躍した外交官・政治家として昭和外交史を語る上ではずすことができない人物である。
重光の戦後に関する研究は、鳩山内閣の外務大臣時代のものに集中している。これまで鳩山内閣の外相時代の重光に関しては、日ソ国交回復交渉・重光=ダレス会談における安保改定の提案に関しても否定的な評価をされることが多かった。しかし、こうした否定的な評価は、重光の外交構想の実態を把握したうえでの評価ではなかった。その後最近の流れとしては、これまでの重光に対して再評価する研究が何本か出されている。
「重光葵」研究の整理
目次
1.はじめに
2.田中孝彦 「日ソ国交回復交渉(1955-56)と重光外交」
3.坂元一哉 「第3章 安保改定構想の挫折 重光訪米の意義」 『日米同盟の絆』
4.武田知己 「第3章 保守合同以後-重光と岸-」 『重光葵と戦後政治』
5.おわりに
参考・引用文献
1.はじめに
重光葵(1887~1957)は1920年代から戦後の1950年代まで活躍した外交官・政治家として昭和外交史を語る上ではずすことができない人物である。
重光の戦後に関する研究は、鳩山内閣の外務大臣時代のものに集中している。これまで鳩山内閣の外相時代の重光に関しては、日ソ国交回復交渉・重光=ダレス会談における安保改定の提案に関しても否定的な評価をされることが多かった。しかし、こうした否定的な評価は、重光の外交構想の実態を把握したうえでの評価ではなかった。その後最近の流れとしては、これまでの重光に対して再評価する研究が何本か出されている。
本稿ではそれら重光を再評価している研究論文を3本取り上げ、要点を抽出し、鳩山内閣の外相時代の重光研究の研究史を整理していきたいと思う。
2.田中孝彦 「日...