会社法事例演習教材 第二版の解答です。問題は紛争解決編(第Ⅰ部)と紛争予防編(第Ⅱ部)に別れており、それぞれ12テーマずつ。会社法における最良の演習書であると考えます。
解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。 そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、充実した内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
設問9-1
前提:設立手続のための事務所賃借や事務員雇用はいわゆる「設立に関する費用」(28④)、営業を前提とした宣伝はいわゆる「開業準備行為」にあたるp72~74
Q1:設立中の発起人の行為が成立後の会社に帰属するのはなぜか?
設立登記前に会社成立を目的とする「設立中の会社」なる権利能力なき社団が成立しており、設立中の会社と成立後の会社は同一の存在であるから、設立中の会社のすべての関係が成立後の会社に帰属するという理論p105
Q2:発起人の設立手続きにおいて行うどのような行為が、設立中の会社の機関としての行為として、成立後の会社に帰属するか?
①設立を目的とする行為‐定款作成、社員の確定、機関の具備
…法律上要求される行為
②設立のために必要な行為‐事務所の賃借、株式募集のための通知、創立総会の会場の賃借
…事実上必要
③開業準備行為‐財産引受含む、営業資金の借り入れや広告、宣伝、雇用など
…ただちに営業行為を開始するために必要な行為
④営業行為
が考えられ、どこまで認めるかで見解が分かれる。
③開業準備行為は成立後の会社に帰属するか (発起人の権限の範囲内か)
28②につき、開業...