事例演習民事訴訟法 第3版(新版)の解答です。事例問題形式での民亊訴訟法演習書として本書の問題は完成度が高く、基本論点を網羅するとともに「考えさせられる」良問が揃っているため、民事訴訟法における最良の演習書であると考えます。
充実した解答のついていない本書において、本解答は貴重なものであると思います。そして、本解答は司法試験合格者に添削をしてもらった上で作成しているため、信頼できる内容になっていると考えます。 また、発展的な問題については、参考文献や参考資料を引用した上で作成もしておりますので、学習の便宜上、有効な内容となっております。
事例演習民事訴訟法19
1、まず、本判決は、X1らによる本件土地建物競売による共有物分割の申立てに対し全面的価格賠償による共有物分割を命じる判決をするものである。これは、申立事項と判決事項の一致を要求する246条に反するという問題がないか。
(1) 246条は、民事訴訟において認められる処分権主義(当事者に訴訟の開始、審判対象の特定やその範囲の限定、更には判決によらない訴訟の終了させる権能を認める建前)のうち、審判対象の特定・範囲の限定についてを具体化した条文である。そしてその趣旨は、私的自治を訴訟法上に反映することにある。
そうだとすれば、私的自治が妥当しない非訟事件においては、処分権主義は妥当せず、246条違反の問題も生じえないということになる。
(2) ここで、共有物分割の訴え(民法258条1項)は、判決の確定によって共有物の分割という効果が発生する点で形成訴訟であるが、実体法規に形成要件の定めが無いため裁判所が合目的的な裁量判断で分割の方法を定めることになるため実質上非訟事件である。そのため、共有物分割の訴えには処分権主義が妥当せず、246条違反の問題も生じえない。
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