東京高裁平成21年9月30日判決および最高裁平成24年3月16日判決、同判決内の裁判官須藤正彦の反対意見を交えつつ、生命保険契約における無催告失効条項と消費者契約法10条について検討し、いずれの考えを支持するか私見を交えつつ説明する。
生命保険契約における無催告失効条項と消費者契約法10条について
一.東京高裁平成21年9月30日判決について
結論:無催告失効条約は、消費者の利益を一方的に害するものであり、信義則違反である。理由は以下の通りである。
(1).本件保険契約は消費者契約法10条の適用があり、その内容については信義則に反し、消費者の利益を一方的に害するものを無効とするものである。
(2).民法が契約を解除するにはまず相当の期間を定めた履行の催告をし、その相当期間内に履行がないときに履行をしない者に対して解除の意思表示をするとしているのは、契約の解除をするために一定の要件を課し、履行遅滞に陥った債務者の権利の保護を図る趣旨であることが明らかであり、本件無催告失効条項は、保険契約者がその保険料支払虐務を履行しない場合に保険者がその履行の催告をすることを要しないとしている点や、保険者が保険契約者に対して契約解除の意思表示をすることを要しないとしている点において、民法540条1項及び541条に対して考えると、消費者である保険契約者の権利を制限しているものであることは、明らかである。
(3).本...