生命倫理の課題
医の倫理
ヒポクラテスの誓い=医師の職業倫理
ナチス、日本軍の医療者たちの人体実験
1946 ニュールンベンブルグ網領(医師裁判)
1948 ジュネーブ宣言(世界医師会)
1949 医学倫理の国際網領
1954 研究および実験の原則
ヘルシンキ宣言
アメリカでの人体実験
1930~70 タスキギー事件
1945~74 プルトニューム人体実験
1973 患者の権利章典(アメリカ病院協会)
カレン事件→植物状態からの尊厳死→バイオエシックスへ
ヒポクラテスの時代~近年は、パターナリズム(=医療による患者庇護重視)であった。
パターナリズムは世界中で医療を支える基本概念である。「医は仁術」という言葉もパターナリズムである。
パターナリズムは完全に否定できない。医師の理念のためのパターナリズムはもともと裁量権の乱用に入る。
パターナリズムの精神は医療でこそ発揮されねばならない。
医師のパターナリズムが特に必要とされるのは、患者に自己決定能力が無い、患者が医師に任せる、自己決定より患者の利益を優先、の3つの場合である。
医師の意見やアドバイスや配慮はパターナリズムに基づき、パターナリズムを排除しては医療は成り立たない。
現在は、インフォームド・コンセント(=患者の自立重視)へと移り変わってきた。
インフォームド・コンセントをひろめ、患者のための医療を目指す人達は、パターナリズムを強く否定する。
人権意識によってパターナリズムは医師の独りよがり、患者の権利無視として、批判されるようになってきた。
いままでのパターナリズムが支配的で患者の自己決定がなおざりにされてきた。
日本におけるインフォームド・コンセント関連の働き
1991年10月 弁護士や市民らが「患者の権利法をつくる会」結成
1992年06月 第二次医療法改正。付則で医療側の「適切な説明」「理解を得る努力」について、見当するよう議会が政府に指示
1993年07月 厚生省(現厚生労働省)「インフォームド・コンセントのあり方に関する検討会」設置
1995年06月 同検討会が「元気の出るインフォームド・コンセントを目指して」とした報告書をまとめる
1997年06月 レセプト(診断報酬明細書)開示へ。厚生省(現厚生労働省)が通知
1997年08月 与党協議会、医療構造改革案提出
1997年11月 第三次医療法改正。法律に「適切な説明」「理解を得る努力」が盛られる
1998年06月 厚生省(現厚生労働省)「カルテ等診療情報の活用に関する検討会」設置
1999年07月 カルテ等診療情報開示の法制化見送り
医師・患者の関係の再構築
社会が豊かになった現在、医療供給が量的に満たされて、個人主義が普及して、医療への社会の要求は質的なものへと転換した。その結果、医療供給の量的拡大を主眼とした従来の医の倫理や関係法では不十分になり、自己決定権、インフォームド・コンセントの理念が判決例を通じて形成された。これらの理念は、患者が医療の主体となることを要求するものである。
患者の自己決定権尊重の理念は、医師と患者の共同意思決定を前提に、不可能な場合は患者の最終決定権を認める。それは、生命や健康を質の問題でとらえると、医師と患者の価値基準が違えば利益選択も異なるからだ。インフォームド・コンセントは患者の自己決定権の理性的行使に必要な情報の提供を医師に課す倫理的・法的規範である。そこで目指されるのは「共同の意思決定に必要な情報の共有」である。自己決定権の理念では、情報収集も患者自らの責任で行うべきだが、患者との信
生命倫理の課題
医の倫理
ヒポクラテスの誓い=医師の職業倫理
ナチス、日本軍の医療者たちの人体実験
1946 ニュールンベンブルグ網領(医師裁判)
1948 ジュネーブ宣言(世界医師会)
1949 医学倫理の国際網領
1954 研究および実験の原則
ヘルシンキ宣言
アメリカでの人体実験
1930~70 タスキギー事件
1945~74 プルトニューム人体実験
1973 患者の権利章典(アメリカ病院協会)
カレン事件→植物状態からの尊厳死→バイオエシックスへ
ヒポクラテスの時代~近年は、パターナリズム(=医療による患者庇護重視)であった。
パターナリズムは世界中で医療を支える基本概念である。「医は仁術」という言葉もパターナリズムである。
パターナリズムは完全に否定できない。医師の理念のためのパターナリズムはもともと裁量権の乱用に入る。
パターナリズムの精神は医療でこそ発揮されねばならない。
医師のパターナリズムが特に必要とされるのは、患者に自己決定能力が無い、患者が医師に任せる、自己決定より患者の利益を優先、の3つの場合である。
医師の意見やアドバイスや配慮はパターナリズムに基づき、パター...