公認会計士試験合格者が通う実務補修所のレポートです。テーマは、「公認会計士に求められる独立性・倫理観について」です。実務補修所に通うひとだけでなく、大学で監査論を学ぶ方にもおすすめです。
公認会計士に求められる独立性・倫理観について
第1章 社会が期待する公認会計士の独立性・倫理観
英語辞典を引くと英語のアカウント(account)には「説明する」という意味があることが分かる。公認会計士はCertified Public Accountantの訳であり、直訳すると公認された説明をする者という意味になる。では、公認会計士は何を説明する者なのであろうか。それは典型的には企業の経営者が株主や銀行などの債権者に対して会計責任を負うとき、公認会計士は経営者の主張が真実であるかどうかを、その専門能力を生かして説明をするのである。つまり公認会計士は経営者の主張つまり経営者が作成した財務諸表に誤りがないか否かを企業の利害関係者に対して説明をする者なのである。
しかし、いくら公認会計士が高い専門能力を有し、いかに実務の通じていたとしても、会計士が個人的利得を優先させたりする人であったり、モラルの欠片もないような人であったりする場合には、利害関係者は会計士の説明を全く信用しようとはせず、結果として現在の資本市場は機能不全に陥ってしまうことになる。そこで、会計士は具体的にどうあるべきだろう...