国文学講義Ⅵ(分冊1)

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    日本大学通信教育部合格レポートです。大変読みやすくよくまとまったレポートです。また文学がこの時期特に政治的に利用された理由などを理解しており、課題の要求に応えた内容で高く評価できます。とお褒めをいただきました。

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    国文学講義Ⅵ(現代)

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    我が国の社会主義思想は、日清戦争後におこった。資本主義社会の弊害が社会問題をうむというキリスト教側からの啓蒙と、デモクラシーを求める明治十年代の自由民権運動とが土壌となって社会主義思想・文学が発生した。この様な社会主義的文学は大正末から昭和十年代頃までの期間、プロレタリア文学と称されたのだが、どの様に展開していったのであろうか。

    明治以来、日本の文学は西欧の近代文学の

    影響の下に伝統からの離脱をはかりながら独自の道を歩んできた。大逆事件以後のいわゆる社会主義の冬の時代の中で、現場での労働体験をもつ一群の作家達が現れた。宮島資夫「坑夫」、宮地嘉六「放浪者富蔵」らが代表的で、大正労働文学ともいわれる社会主義文学であり、プロレタリア文学の先駆といえる。

    一方、知識人階層からも社会主義文学が現れた。大正十年、フランスでクラルテ運動に参加し、コミンテルンの活動にも触れて帰国した小牧近江が金子洋文らと共に「種蒔く人」を創刊し、反戦平和、ロシア革命の擁護、抑圧された階級の解散、コミンテルンの紹介を行った。この「種蒔く人」が中核と...

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