問題
私たちは、日々の生活の中で、多くの人々とコミュニケーションをしながら生きている。友人や家族と何気なく会話しているし、相談をしたりされたりすることもあるだろう。日常のコミュニケーションは人間が人間らしく生きるための最も基本的な営みともいえる。ところで「聞き上手」、「聞き下手」などという表現があるように、話を聞くのが上手い人、下手な人がいる。聞き上手な人を相手にすると、スムーズに話ができるが、聞き下手な人に対しては、話をしづらく、話をする気が失せてしまったりする。では、この聞き上手、聞き下手とはなにによるものだろうか? 聞き上手、聞き下手を決定する要素には様々なものがあるだろうが、その1つに話しての発言に対して、どれだけ主要的であるかと言う要因があろう。話しての発言に対して、聞き手が遮ったり、無視したりしないで、うなずいたり、相槌をうったりすることで、受け入れていることを示せば、話し手にとって話しやすい状況になるであろう。
目的
本研究においては、聞き手のうなずきやあいづちが、話し手に与える影響について実験観察を行う事で検討する。聞き手のうなずきや相槌の程度を操作して、話しての発話のスムーズさ、沈黙の長さ、不安の程度、視線にどのような違いが見られるかを調べる。
仮説
うなずきや相槌が少ない場合は、多い場合に比べて話しての発話のスムーズさが低く、沈黙が長く、不安が高いであろう。
方法
実験群
対象者 3年生11名(女性11名)が実験に参加した。
平均年齢は20.18歳、SDは0.39である。
材料 行動を記録するために、ビデオカメラを2台使用した。
行動評定のために、行動記録用紙を用いた。11人分×9枚
沈黙時間を記録するためにストップウォッチを用いた。
ビデオデッキ・テレビを観察するために使用した。
手続き
対象者を「聞き手」と「話し手」に割り当てて、3分間模擬面接を行ってもらった。聞き手には話し手に対していくつかの質問をするように指示をした。話してはなるべく会話が膨らむような質問を聞き手に投げかける。また、聞き手は質問に対して嘘の回答をしても良いとする。聞き手には、次の3つの条件のうちいずれかの聞き方をするように教示した。
(a)低受容群:聞き手は話し手に対してうなずきや相槌をなるべくしないで話を聞く。
(b)高受容群:聞き手は話し手に対してなるべくうなずきや相槌を多くして話を聞く。
(c)統制群:聞き手は特に意識しないで普段通りに自然に話を聞く。
話し手には、聞き手の質問に対して、出来るだけ普段通りに応答するように指示した。「聞き手」と「話し手」以外の人間は、この二人に影響を与えないように、別室で待機させる。 模擬面接場面をビデオカメラで表情が写るように撮影・記録し、行動評定した。この行動評定は1~5段階で評価する。この時、『1』が一番評価が低く、『5』が一番評価が高い、とした。話の流暢さ、というのは話し手が聞き手の質問に対して淀みなく堪えられているかを調べている。話し手の表情は聞き手との会話で不安や戸惑いがどの程度あったかを調べている。話し手の行動は5項目に分けて5秒ごとにその有無をチェックした。
まず、身体を揺する行為では、身体や足を小刻みにゆすったり動かしたりしていないかをチェックする。視線を逸らす行為では、聞き手の方を見ないで、宙を見たり、視線を落としたりする行動をチェックする。体軸を逸らすという行為では、聞き手と向き合わないように、体の向きを変えるなどの行動をチェックする。手や物を触るという行為では、片方の手で、もう一
問題
私たちは、日々の生活の中で、多くの人々とコミュニケーションをしながら生きている。友人や家族と何気なく会話しているし、相談をしたりされたりすることもあるだろう。日常のコミュニケーションは人間が人間らしく生きるための最も基本的な営みともいえる。ところで「聞き上手」、「聞き下手」などという表現があるように、話を聞くのが上手い人、下手な人がいる。聞き上手な人を相手にすると、スムーズに話ができるが、聞き下手な人に対しては、話をしづらく、話をする気が失せてしまったりする。では、この聞き上手、聞き下手とはなにによるものだろうか? 聞き上手、聞き下手を決定する要素には様々なものがあるだろうが、その1つに話しての発言に対して、どれだけ主要的であるかと言う要因があろう。話しての発言に対して、聞き手が遮ったり、無視したりしないで、うなずいたり、相槌をうったりすることで、受け入れていることを示せば、話し手にとって話しやすい状況になるであろう。
目的
本研究においては、聞き手のうなずきやあいづちが、話し手に与える影響について実験観察を行う事で検討する。聞き手のうなずきや相槌の程度を操作して、話しての発話の...