07833教育課程編成論 第1分冊
まず、2008/09年に学習指導要領等が改訂された理由について述べていく。この改訂での大きな特徴は、1977-78年以降30年来継続的に推進され、1998-99年に全面改訂を受けた指導要領において頂点に達した「ゆとり教育」の大々的な転換である。これは、自己責任を果たし、他者と切磋琢磨しつつ、一定の役割を果たすためには、基礎的・基本的な知識・技能の習得やそれらを活用して課題を見出し、解決するための思考力・判断力・表現力等が必要とされることから、ゆとり教育路線の教育課程からの離脱の狙いが考えられる。1998-99年版の指導要領は、教育課程編成の主体も、授業時数配分の弾力化など、各学校現場レベルでの裁量権を大幅に拡大した規制緩和・分権化傾向がうかがわれるものである。しかし、2008年中教審答申では、この指導要領の反省点として、以下の点をあげている。
1 「生きる力」の意味と必要性に関する文部科学省による趣旨の周知・徹底、及び学校関係者や保護者、社会との間に十分な共通理解の不十分さ
子どもの自主性尊重に対する現場教師の誤解による指導の抑制・躊躇
思考力・判断...