キレート滴定
1.目的
キレート滴定法を用いて、未知試料中に含まれる金属イオン(Ca
2+、Mg
2+)の濃度
を調べ、さらに水の硬度についても計算して求める。また、実験を通してキレート滴定法
の原理や操作の仕方について学び、結果の考察をしてさらに理解を深める。
2.原理
金属イオンに配位し、キレート化合物を形成する多座配位子をキレート試薬と呼ぶ。こ
のキレート試薬の標準溶液を用いて、金属イオンを滴定する方法がキレート滴定法である。
この実験ではキレート試薬にエチレンジアミン四酢酸2水素ナトリウム・2水和物(ED
TA・2Na・2H2O)を用いて、Ca
2+とMg
2+の滴定を行った。EDTAは、6座配
位子であり、電荷が2価~4価の多くの金属イオンと1:1のモル比で反応し、安定なキ
レート化合物を生成することができる。pHにより、EDTAと金属イオンは選択的に反
応を起こすことができ、それを利用した滴定を行うことによって金属イオンの濃度を決定
することができる。EDTAの2ナトリウム塩をNa2H2Y、金属イオンをM
n+とすると、
キレート反応は次のように起こる。
M
n+ + H2Y
2- → MY
n-4 + 2H
+
反応の終点の決定には、金属指示薬と呼ばれるエリオクロムブラックT(BT指示薬)
やNN指示薬が用いられる。これらの指示薬は、金属イオンとキレート錯体を生成したと
きの色と、標準溶液により指示薬が遊離されたときの色が異なるということから使われて
いる。まず、BT指示薬の場合、pH7~10における滴定において、終点前では金属-
BTキレート錯体の色である赤色を呈しているが、終点においては、金属イオンがEDT
Aと錯体を形成するため、BTの遊離の色である青色に変わる。
MI
- + H2Y
2- → MY
2- + HI
2- + H
+
(赤色) (無色) (無色) (青色)
MI
- :金属イオンとBTの錯体 、 H2Y
2-:EDTA
MY
2-:金属イオンとEDTAの錯体 、 HI
2- :遊離したBT
次に、NN指示薬についてだが、この指示薬はCa
+のみを定量するのに使われる。pH
12~13において、Mg
2+は安定な水酸化物(Mg(OH)2)となってEDTAと反応し
なくなるので、このpH領域で作用するNN指示薬を用いれば、Ca
2+のみを定量するこ
とができる。また、中性の試料に緩衝液としてKOHを使うのは、NaOHよりKOHの
方が鋭敏な終点を示すからである.
3.実験操作
① 0.01 M のEDTA標準溶液の調整
上皿天秤を用いて、EDTA・2Na・2H2Oを約 2.0gはかり取り、500 mLのビー
カーに移して水 300 mLで溶解した。次に、それを試薬瓶に移し変えたが、その際ビーカ
ーの内壁についている溶液も水で洗い流すようにして移し変えて、全容を 500 mLとした。
② 未知試料 5 mL中のCa
2+とMg
2+の合計量の定量
未知試料5 mLをホールピペットで三角フラスコに採取し、それに脱イオン水45 mL、
NH2OH・HCl溶液 1 mL、pH緩衝溶液 2 mL、そして最後にBT指示薬を7滴入
れた。この溶液を①で調整した 0.01 M EDTA標準溶液で滴定し、溶液の色が赤色から青
色に変わり、赤みが完全に消えた点を終点とした。その滴定値をA mLとした。
③ 未知試料 5 mL中のCa
2+の定量
未知試料 5 mLを三角フラスコに採取し、脱イオン水
キレート滴定
1.目的
キレート滴定法を用いて、未知試料中に含まれる金属イオン(Ca
2+、Mg
2+)の濃度
を調べ、さらに水の硬度についても計算して求める。また、実験を通してキレート滴定法
の原理や操作の仕方について学び、結果の考察をしてさらに理解を深める。
2.原理
金属イオンに配位し、キレート化合物を形成する多座配位子をキレート試薬と呼ぶ。こ
のキレート試薬の標準溶液を用いて、金属イオンを滴定する方法がキレート滴定法である。
この実験ではキレート試薬にエチレンジアミン四酢酸2水素ナトリウム・2水和物(ED
TA・2Na・2H2O)を用いて、Ca
2+とMg
2+の滴定を行った。EDTAは、6座配
位子であり、電荷が2価~4価の多くの金属イオンと1:1のモル比で反応し、安定なキ
レート化合物を生成することができる。pHにより、EDTAと金属イオンは選択的に反
応を起こすことができ、それを利用した滴定を行うことによって金属イオンの濃度を決定
することができる。EDTAの2ナトリウム塩をNa2H2Y、金属イオンをM
n+とすると、
キレート反応は次のように起こる。
M
n+...