宗教一般について
宗教史学、宗教史において宗教を歴史的に研究することは古くからおこなわれてきたが、宗教を科学的に研究する実証主義的な研究では、特に宗教の起源と進化の問題について考えられてきた。
宗教という文化が如何にして発生したかという問いは宗教の起源を事実として実証するための十分な資料がなかった。しかし、東南アジア、西南太平洋の諸島、南シナ、日本等に未開人の宗教または、原始宗教の残存と思われる事実や、神話や伝説が数多く残されており、これらの研究により、少なくとも宗教の祖型またはその原初形態を求めることができると考えられる。そして、その祖型は唯一ではなく、いくつかの形態があり、さらにそれらが絡み合った形態もあることが明らかになっている。
そして、これら歴史上に出現した諸宗教の間の共通の要素を求めて、その要素を宗教の本質または宗教一般であると考えた。
メンシングによれば、諸宗教の歴史的展開は各々独自的なものであて、その間に一定の基準がない以上は宗教一般や宗教そのものを追求することはできないという。宗教一般は宗教史の展開の究極的な結果を予め前提とするものであるが、宗教は各々、一...