ニーチェ「悲劇の誕生」について

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    ニーチェ「悲劇の誕生」感想文
    西尾幹二 訳 中央公論新書
    ニーチェという名前は聞いたことがあったが、一体どのような人物なのかはまったく知らなかった。今回、「悲劇の誕生」を読むにあたりニーチェのことを調べてみたところ、1844年にドイツに生まれた哲学者で、若くしてスイスのバーゼル大学の教授となり、その時に初めて書いた本がこの「悲劇の誕生」であることがわかった。
    私は哲学書を読むのは今回が初めてで、読み進めても内容的に大変難しく理解ができなかったのが正直な感想です。前書きのところで訳者の西尾幹二さんも書いているとおり、この本は美学、宗教、哲学、歴史、演劇、音楽など広範囲のジャンルにわたり人間の生き方そのものを中心にすえた問題の書であるので、理解することが難しいため、読者は本に書かれているニーチェの言葉の力に思ったまま動かされるのが何よりも大切であると。
    したがって、悲劇の誕生に書かれている主題からは外れているかもしれないけれど、私の中で残っている言葉や内容について思ったことを書いてみたい。
    繰り返しですが、この本に書かれている内容は大半理解できませんでした。繰り返し出てくる言葉に「ディオニソス」というものがあるが、この言葉の意味を理解することが必要であることは理解できた。そのためとにかく一生懸命考えた結果、私なりの理解として、ディオニソスは音楽や踊りなどのあいまいさがある感情や雰囲気のことで、本の中で出てくる太陽の神であるアポロの反対の意味であると思った。
    本の主題から考えて、またところどころ理解できる文章の内容から考えると、ギリシャの悲劇はこのディオニソス的なものから生まれていて、その元となったのがいわゆる現代でも言う合唱の意味のコーラスであることはわかった。しかし、どうしてコーラスが悲劇の誕生の元なのかはよくわからない。
    本の中に「コーラスは悲劇作品の中に、いく組みかに分けられて編みこまれているが、このコーラス部分が、対話と称される劇の残りの部分全体の、いわば母胎なのであり、言いかえれば本来のドラマの母胎なのである」と書かれている。この部分も悲劇の誕生はコーラスからはじまったことを言っているのだと思うが、なぜ、悲劇はコーラスから始まるのかがどうしても理解できなかった。私の中では、悲劇は悲しい話であり、もちろん、歌やコーラスでも悲しい様子や表現はできると思うが、劇の中ではせりふや動作が中心であって、歌やコーラスはせりふや演技を飾るものだという思いが強い。
    ニーチェも本の中で「われわれは近代の舞台におけるコーラスの地位、ことにオペラのコーラスの地位に慣れてきたため、ギリシャ人の悲劇のコーラスが重要であるということが理解できない」と言っている。このことは、ニーチェ以外の人たちが、悲劇の誕生はコーラスから始まったとは誰も考えていなかったということを述べているのだと思う。
    なぜ、ニーチェが誰も考えなかったことを悲劇の誕生を書いて主張したのかも理解できないけれども、前書きにもあるとおり、ニーチェはこの本を出版したために、当時の世界からは理解されず、学問的にも孤独な立場になったということがわかった。
    私がそれなりに理解できた内容のもうひとつは、ディオニソスという言葉の反対のアポロという言葉であった。両方ともギリシャの神の名前で、ディオニソスは酒の神で、言葉のひびきから考えてもどちらかというと暗い感じで良いイメージはなく、逆に、アポロは太陽の神で明るく良いイメージと感じる。ニーチェが悲劇は明るくわかりやすいせりふや演技のアポロ的なイメージではなく、暗くわかりにく

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    ニーチェ「悲劇の誕生」感想文
    西尾幹二 訳 中央公論新書
    ニーチェという名前は聞いたことがあったが、一体どのような人物なのかはまったく知らなかった。今回、「悲劇の誕生」を読むにあたりニーチェのことを調べてみたところ、1844年にドイツに生まれた哲学者で、若くしてスイスのバーゼル大学の教授となり、その時に初めて書いた本がこの「悲劇の誕生」であることがわかった。
    私は哲学書を読むのは今回が初めてで、読み進めても内容的に大変難しく理解ができなかったのが正直な感想です。前書きのところで訳者の西尾幹二さんも書いているとおり、この本は美学、宗教、哲学、歴史、演劇、音楽など広範囲のジャンルにわたり人間の生き方そのものを中心にすえた問題の書であるので、理解することが難しいため、読者は本に書かれているニーチェの言葉の力に思ったまま動かされるのが何よりも大切であると。
    したがって、悲劇の誕生に書かれている主題からは外れているかもしれないけれど、私の中で残っている言葉や内容について思ったことを書いてみたい。
    繰り返しですが、この本に書かれている内容は大半理解できませんでした。繰り返し出てくる言葉に「ディオニ...

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