ペスタロッチーの教育学(直観の原理など)について考察せよ
ペスタロッチーもルソーと同様に、子どもには将来発展していく素質が備わっており、この素質が子どもの内から発展するように助成するのが教育だと考えた。ペスタロッチーは、子どもは生まれながらには未だ動物的であり、この動物的な衝動を根絶することが教育なのであるとしていた古い教育観に反対した。真への認識、美の感情、善の力、これらはすべて子どもが生まれながら有しているものであり、教育者は子どもの内的本性が自ら実現していくのを援助することに専念しなければならないと述べた。逆に、子どもの内的本性に備わっていないものを外部から注入することはふさわしくないと考えた。この考えはロックのようなタブラ・ラサ説と対立した教育観である。すなわち、子どもの本性は白紙ではなく、すでに将来成長するための能力を内的に有しているのである。この能力を自然に即した形で伸ばしていくことが重要で、ペスタロッチーはこの教育観を「有機的・発生的」と呼んだ。そして、子どもの内的素質を重視するという点で「有機的」であり、自発的な成長を促している点を「発生的」であると述べている。
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