生理学実習レポート
pH緩衝液の作製
目的・緒言
生体内では多数の酵素が作用するが、その場合最適pHの環境でなければ酵素は十
分に働くことができない。そのため、生体内では体のpHを安定させることはきわめ
て重要なことである。生体内ではpHを安定させるためにヘモグロビン、重炭酸-炭
酸系、細胞内緩衝系(蛋白質やリン酸)といった緩衝系がある。今回の実験では血液中
で大きな働きをしている重炭酸-炭酸系を、細胞外液を模倣した溶液をつくることで
再現し、その作用の理解を深めることを目的とした。
材料・器具
NaCl、KCl、NaHCO3、CaCl2(1M)、MgCl2(1M)、グルコース、HCl(5M)、
100mlビーカー、小ビーカー、メスシリンダー、スターラー、pHメーター、
マイクロピペット、薬さじ、薬包紙、電子天秤、
方法
細胞外液を模倣した溶液を作るために、下表の組成をもつ溶液を100ml作製
した。最初に蒸留水約80mlをビーカーに用意し、そこに物質を加えていった。
物質を加えていく際、一度に複数の物質を溶かすと組み合わせによっては沈殿
が生ずる場合があるので一種類ずつしっかりと溶かしてから次の物質を加え
た。NaCl、KCl、NaHCO3、グルコース、CaCl2(1M)、MgCl2(1M)、の順にビ
ーカーに加えた。すべての物質を加えた後、ビーカーの溶液をメスシリンダー
に移し、パラフィルムでふたをしてからしっかりと撹拌して、濃度が均一にな
るようにした。作製した溶液は50mlずつ2つにわけてから、一方の溶液のpH
をpHメーターで測定した。
試薬 分子量
(又はstock濃度) 濃度(mM) 量り取った量 NaCl 58.44 115 0.673g KCl 74.55 5 0.037g NaHCO3 84.01 25 0.210g CaCl2 (1M) 1 0.1ml MgCl2 (1M) 1 0.1ml グルコース 180.16 10 0.180g 注:NaCl、KCl、NaHCO3、グルコース=分子量×濃度(ℓ)×0.1(ℓ)
CaCl2、MgCl2=0.001(M)×0.1(ℓ)÷1(M)=0.0001(ℓ)=0.1ml
もう一つの溶液は5%CO2/95%O2混合ガスで5分以上バブリングし、すぐに
pHを測定した。
バブリングした溶液に5MのHClを500μl加え、HClの濃度が10mMにな
るようにした。そしてpHの変化を測定した。
4、結果
pH 方法(1) 8.2 方法(2) 7.4 方法(3) 7.2
5、考察
方法(1)で作製した溶液をA、方法(2)で作製した溶液をB、方法(3)で作製した溶液
をCとする。AとBの違いはCO2のバブリングの有無である。バブリングによりB
にはCO2が多量に含まれることになったので、pHは減少したと考えられる。実際に
結果から0.8だけpHが下がっていることがわかる。
方法(2)により作られたBのpHは理論的には次のように予想される。
注:
理論的な予想値は7.45となった。実際に計測された値は7.4であった。pHメーター
では小数第2位は測れなかったが、誤差の値は100分の1単位であり、理想に近い
状態でBは作れたということができる。なお、動物の体内のpHは標準状態では7.4
とされているので、pH状態だけをみれば、体液を模倣したものができたことになる。
そして方法(3)により、実際に緩衝作用が行われているか確かめた。この場合も理
論的に予測されるp
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pH緩衝液の作製
目的・緒言
生体内では多数の酵素が作用するが、その場合最適pHの環境でなければ酵素は十
分に働くことができない。そのため、生体内では体のpHを安定させることはきわめ
て重要なことである。生体内ではpHを安定させるためにヘモグロビン、重炭酸-炭
酸系、細胞内緩衝系(蛋白質やリン酸)といった緩衝系がある。今回の実験では血液中
で大きな働きをしている重炭酸-炭酸系を、細胞外液を模倣した溶液をつくることで
再現し、その作用の理解を深めることを目的とした。
材料・器具
NaCl、KCl、NaHCO3、CaCl2(1M)、MgCl2(1M)、グルコース、HCl(5M)、
100mlビーカー、小ビーカー、メスシリンダー、スターラー、pHメーター、
マイクロピペット、薬さじ、薬包紙、電子天秤、
方法
細胞外液を模倣した溶液を作るために、下表の組成をもつ溶液を100ml作製
した。最初に蒸留水約80mlをビーカーに用意し、そこに物質を加えていった。
物質を加えていく際、一度に複数の物質を溶かすと組み合わせによっては沈殿
が生ずる場合があるので一種類ずつしっかりと溶か...