行政法 国家賠償法1条関係

閲覧数2,290
ダウンロード数6
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    第1.総論
    XはYに対して、A巡査の行為によって瀕死の重傷を負うという損害を被ったことを理由に国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を請求しているものと考えられる。
     この点、国家賠償法1条の責任が成立するためには、?国または公共団体による公権力の行使にあたる公務員であること?職務を行うについて損害を与えたこと?公務員に故意または過失があること?違法に損害を加えたことが必要である。
    第2.?、?について
    まず、本件のようなA巡査の追跡行為は権力的作用の発動であるため、公権力の行使に含まれることは明らかであり?の要件は満たす。
     次に、追跡行為はA巡査の職務権限の範囲内であることは明らかであるから、?の要件も満たす。
    第3.?について
    1.A巡査に過失があるといえるか。過失の内容が問題となる。
     この点、国家賠償法1条による責任は代位責任であるが、だからといって加害公務員の能力や主観的認識をもとに過失を認定すべきではない。なぜならば、それでは、公務員の個人的能力や主観的認識に左右されて、被害者の救済を十分になしえないからである。
     そこで、過失とは、公務員の客観的な注意義務違反であると解すべきである。すなわち、通常の公務員に要求される知識。能力を前提に、当該公務員が被害の発生を予見することができたのに予見を怠り(予見義務違反)、かつ結果を回避できたのに怠った(結果回避義務違反)といえれば過失があると認定すべきである。
    2.本件では、原告Xの主張1のとおり、本件道路が時速40km制限の市街地の道路であるところ、Bは自足80kmから100kmで信号無視を繰り返しながら逃走していることを考慮すると、パトカーがB車を追跡すればこのような事故が発生することは当然予見できたものといえる。したがって、A巡査に予見義務違反があるといえる。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    国家賠償法1条の問題
    第1.総論
    XはYに対して、A巡査の行為によって瀕死の重傷を負うという損害を被ったことを理由に国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償を請求しているものと考えられる。
     この点、国家賠償法1条の責任が成立するためには、①国または公共団体による公権力の行使にあたる公務員であること②職務を行うについて損害を与えたこと③公務員に故意または過失があること④違法に損害を加えたことが必要である。
    第2.①、②について
    まず、本件のようなA巡査の追跡行為は権力的作用の発動であるため、公権力の行使に含まれることは明らかであり①の要件は満たす。
     次に、追跡行為はA巡査の職務権限の範囲内であることは明らかであるから、②の要件も満たす。
    第3.③について
    1.A巡査に過失があるといえるか。過失の内容が問題となる。
     この点、国家賠償法1条による責任は代位責任であるが、だからといって加害公務員の能力や主観的認識をもとに過失を認定すべきではない。なぜならば、それでは、公務員の個人的能力や主観的認識に左右されて、被害者の救済を十分になしえないからである。
     そこで、過失とは、公務員の客観的な注...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。