憲法―国民訴訟―

閲覧数2,603
ダウンロード数3
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    はじめに
    分析
    おわりに
    【1、はじめに(テーマ)】
     今回、憲法第二のレポートを書くに当たって、検証しやすいように以下に課題事例を示しておく。
    X内閣は、地方自治法に定められた「住民訴訟」を参考にして、次のような内容の法案を国会に提出した。
    ・A条 「国民は、国の行政機関もしくはその職員について、違法若しくは不当な公金の支出があると認めるときは、これを証する書面を添え、当該行政機関もしくはその職員に対して国庫がこうむった損害を賠償するよう求める訴訟を裁判所に提起することができる」。
    さて、この事例から問題点を検証し見解を述べていく。
    【2、分析】
     【前提】
    そもそも「住民訴訟」とはいったいどういった要件によって成り立つものなのかをまず検討しなければならない。住民訴訟は、地方自治法第二編第九章第十節に法的根拠を持ち、住民が自ら居住する地方公共団体の監査委員に住民監査請求を行った結果、監査の結果自体に不服、又は監査の結果不正・違法な行為があったにもかかわらず必要な措置を講じなかった場合などに裁判所に訴訟を起こすことができるという制度のことである。しかしながら、これは『法律上の争訟』の要件において少々問題の生じるものである。『法律上の争訟』の要件とは、
    当該者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する争いであること。
    法律を適応することにおいて終局的に解決できるものであること
    の二点を満たすものである。すなわち、この住民訴訟には①の“具体的な権利義務ないし法律関係の存否”を満たすものがなく、具体的な争訟には当たらない。だが、これを裁判所法3条において、「裁判所は、日本国憲法に特別の定めのある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する」と定めることによって、司法権の例外的な作用として認めているのである。
     では、この裁判所法3条にいう「その他法律において特に定める権限を有する」とはどういうものか。これは二点に絞られる。
    機関訴訟…行政事件訴訟法6条「国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟」
    民衆訴訟…行政事件訴訟法5条「『民衆訴訟』とは、国又は公共団体の機関の放棄に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう」
    この自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものは客観訴訟に含まれる。すなわち、客観訴訟では法規の適正な適用を補償することが目的となっており、個人的な訴えの利益は不要となる。さらには、勝利しても個人的利益は得られないものである。
     さて、以上を前段階として事例を検証していく。
    【事例検証】
    国家賠償請求訴訟
     まず、この事例は「住民訴訟」を参考にし、それを国家レベルにまで発展させたものである。「国民訴訟」法案といえる。この「国民訴訟」は現在の法律上規定されているものがなく、実際には法的に認められているものではない。
     そもそも国民が国家に対して賠償請求を求めることができるのは、以下の憲法条項に拠るものに限られている。
    ①刑事補償請求権…憲法第40条[刑事補償]「何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。」
    ②国家賠償請求権…憲法第17条[国及び公共団体の賠償責任]「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」
    今回の「国民訴訟」

    タグ

    レポート法学憲法国民訴訟法律

    代表キーワード

    法学

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    はじめに
    分析
    おわりに
    【1、はじめに(テーマ)】
     今回、憲法第二のレポートを書くに当たって、検証しやすいように以下に課題事例を示しておく。
    X内閣は、地方自治法に定められた「住民訴訟」を参考にして、次のような内容の法案を国会に提出した。
    ・A条 「国民は、国の行政機関もしくはその職員について、違法若しくは不当な公金の支出があると認めるときは、これを証する書面を添え、当該行政機関もしくはその職員に対して国庫がこうむった損害を賠償するよう求める訴訟を裁判所に提起することができる」。
    さて、この事例から問題点を検証し見解を述べていく。
    【2、分析】
     【前提】
    そもそも「住民訴訟」とはいったいどういった要件によって成り立つものなのかをまず検討しなければならない。住民訴訟は、地方自治法第二編第九章第十節に法的根拠を持ち、住民が自ら居住する地方公共団体の監査委員に住民監査請求を行った結果、監査の結果自体に不服、又は監査の結果不正・違法な行為があったにもかかわらず必要な措置を講じなかった場合などに裁判所に訴訟を起こすことができるという制度のことである。しかしながら、これは『法律上の争訟』の要...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。