相続の「開始」により、相続によって生じる法律効果が発生する(民法896条)。自然人の財産法上の地位(権利・義務)を、その者の死後に特定の者に継承させることを「相続」という。例えば、不動産や車などの動産の所有権や、借金などの債務が継承されることである。その相続の資格を持つ者を相続人と言い、主に配偶者(890条)や子(887条1項)が当たる。その他にも、子がいない場合は直系尊属(889条1項)、直系尊属もいない場合には、兄弟姉妹(889条1項2号)が相続人になる。
被相続人等の生命または被相続人の遺言行為に対し故意に違法な侵害をした相続人について、その被相続人との関係で、法律上当然に相続資格を剥奪するという制度を「相続欠格」という。
相続欠格の本質については、主に二つの見解に分かれている。相続の相続人による財産取得の側面を重視し、相続欠格はその取得秩序を乱し、違法に利得しようとしたことに対する制裁とみる見解があり、相続人の違法な利得を重視している。一方で、相続人と被相続人には相続的協同体ともいうべき倫理的・経済的結合関係があり、この関係を破壊するような非行のあった者の相続権を剥奪す...