ー歴史的な変遷から施設ケアの在り方を考えるー
社会福祉施設の意義を広義に解釈した場合、「社会福祉事業を実施するにあたっての『物理的・人的・機能的な集合体』としての営造物」と考える。この定義を確認するにあたり、社会福祉事業の概念を明らかにする必要がある。
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「その人らしい生活を確保する」ことの今日的な福祉施設の課題
~歴史的な変遷から施設ケアの在り方を考える~
はじめに
社会福祉施設の意義を広義に解釈した場合、「社会福祉事業を実施するにあたっての『物理的・人的・機能的な集合体』としての営造物」と考える。この定義を確認するにあたり、社会福祉事業の概念を明らかにする必要がある。
社会福祉事業の定義は、学者により多様で決定的な通説は確認されない。また社会福祉事業の目的や理念をはじめ、その在り方等については、時代時代によって異なることから、定義が示された時期によってもそのニュアンスに差が生じているように思われる。
筆者自身、社会福祉事業の働き掛けを「自助のみでは自立(律)した在宅での生活が困難な個人、および家族に対して現存する社会福祉諸制度を能動的に選択・活用することで、個人および家族が自立(律)した、その人らしい生活が確保できるようにすること」と解釈したうえで、社会福祉施設の在り方について考察していきたい。
1.社会福祉施設の変遷
1-1.明治から第2次世界大戦前までの福祉施設の歴史
社会福祉施設とは、社会福祉各法および社会福祉法に基づいて事業...