住居侵入罪の論点

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    資料紹介

    住居侵入罪の論点:居住者、看守者の承諾がある場合
    強盗や詐欺などの目的を秘して、欺罔により居住者の承諾を得て立ち入った場合に、住居侵入罪が成立する
    か。
    Ex.①Xは強姦目的でA女宅に入ろうとし、玄関先で「今晩は」と挨拶したところ、A女がXを愛人と間
    違えて家の中に入れたので、Xは直ちにA女を強姦した。
    ②Yは贈賄目的で公務員B宅を訪問しようとし、玄関先で、その意図を秘して「相談に乗ってほしい」
    と言った。そこで、BはYを応接間に入れたところ、Yは賄賂を差し出したが、Bは受け取りを拒
    絶した。
    学説のまとめ
    A説(平穏侵害説 前田)
    結論:居住者の意思に反する立ち入りであっても、それが住居の平穏を害しないような態様でなされたの
    であれば、住居侵入罪は成立しない。
    帰結:①の場合:Aの平穏を害するから、Xに住居侵入罪が成立する。
    ②の場合:Bの平穏を害しないから、Yに住居侵入罪は成立しない。
    ※あくまで一般的にこのようにいえるだけであり、例外もありうる。
    B説(意思侵害説)→有効な承諾があったかどうかが問題となる
    B-1説(判例・通説 大谷)
    結論:承諾は任意かつ真意でなければならず、欺罔により動機に錯誤がある承諾は無効である。よって、
    有効な承諾はなく、住居侵入罪が成立する。
    帰結:①・②共に、Aの承諾は錯誤に基づくもので真意に反する無効なものとして、X・Yには住居侵
    入罪が成立する。
    批判:①この見解が新住居権説と結びつくと、処罰範囲が不当に拡大する。
    ②友人が遊びに来たと思って招き入れたところ、実は借金の取り立てにきたのであったという場
    合まで、有効な承諾が存在しないとして住居侵入罪が成立してしまう。
    反論:①真に住居権者の意思に反するのであれば、その意思に反する立ち入りを住居権者に受忍させる
    理由はないし、住居侵入罪の法定刑の下限が罰金刑の最低限であることに鑑みれば決して不当
    とはいえない。
    ②かかる事例については違法性の存否・程度の問題として処理すれば足りる。
    B-2説(法益関係的錯誤説 平野・町野・曽根・中森・西田・山口)
    結論:当該態様の立ち入りについて承諾があれば、その承諾は有効であり、立ち入りの目的に錯誤があ
    っても住居侵入罪は成立しない。
    帰結:①の場合:Aには「その人」の立ち入りを許諾する認識があるところ、「愛人だと思ったら赤の他
    人だった」というのは「その人」の属性の錯誤にすぎず、「その人の立ち入りを許諾す
    る自由」という住居侵入罪の法益関係的錯誤ではないから、承諾は有効である。よっ
    て、Xに住居侵入罪は成立しない。
    ②の場合:BはYから「相談に乗ってほしい」と言われて応接間への立ち入りを許諾していると
    ころ、立ち入りの承諾自体は自由な自己決定に基づく有効な承諾である。よって、Y
    に住居侵入罪は成立しない。
    理由:住居侵入罪は、住居等への立ち入りだけを対象としている。
    承諾意思が不在の居住者と現在の居住者とで潜在的に対立している場合に住居侵入罪は成立するか。
    Ex.Aの妻Bと親しくなったXは、Aが出張で不在中に、Bと情交を結ぶ目的でA宅に赴き、Bの承諾を
    得てその住居に立ち入った。
    (夫Aの推定的意思=立ち入り拒否、妻Bの現実的意思=立ち入り承諾)
    学説のまとめ
    A説(平穏侵害説 前田)
    結論:住居の平穏を害しないような態様でなされたのであれば、住居侵入罪は成立しない。
    帰結:住居の平穏を害しないような態様の立ち入りであるから、Xに住居侵入罪は成立しない。
    B説(意

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    住居侵入罪の論点:居住者、看守者の承諾がある場合
    強盗や詐欺などの目的を秘して、欺罔により居住者の承諾を得て立ち入った場合に、住居侵入罪が成立する
    か。
    Ex.①Xは強姦目的でA女宅に入ろうとし、玄関先で「今晩は」と挨拶したところ、A女がXを愛人と間
    違えて家の中に入れたので、Xは直ちにA女を強姦した。
    ②Yは贈賄目的で公務員B宅を訪問しようとし、玄関先で、その意図を秘して「相談に乗ってほしい」
    と言った。そこで、BはYを応接間に入れたところ、Yは賄賂を差し出したが、Bは受け取りを拒
    絶した。
    学説のまとめ
    A説(平穏侵害説 前田)
    結論:居住者の意思に反する立ち入りであっても、それが住居の平穏を害しないような態様でなされたの
    であれば、住居侵入罪は成立しない。
    帰結:①の場合:Aの平穏を害するから、Xに住居侵入罪が成立する。
    ②の場合:Bの平穏を害しないから、Yに住居侵入罪は成立しない。
    ※あくまで一般的にこのようにいえるだけであり、例外もありうる。
    B説(意思侵害説)→有効な承諾があったかどうかが問題となる
    B-1説(判例・通説 大谷)
    結論:承諾は任意かつ...

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