日本の介護保険制度の概要と当該制度創設に至るまでの歴史的経緯、並びに近年の制度改正についてまとめなさい。
わが国では、核家族化や独居高齢者世帯の増加が見られ、寝たきりや認知症の高齢者が急速に増加すると予想されるなか、介護保険制度が創設されるまでは、高齢者に介護サービスを提供する社会保障制度として、老人福祉法に基づく措置制度と、老人保健法に基づく看護や介護が提供されていた。老人福祉法に基づく措置制度では、それまで低所得の高齢者に限定されていた福祉サービスを、所得にかかわりなく、すべての高齢者に提供するものであったが、高齢者のなかには福祉サービスの利用に抵抗を感じる人が少なくない、などの問題点があった。他方、老人保健制度は、高齢者介護の一部を担っていたが、介護サービスを提供する仕組みとしては、一定の限界を有していた。
要介護状態となった高齢者に、必要な介護サービスを提供し、それぞれの能力に応じて自立した生活を営むことができるよう、平成9年の臨時国会において介護保険法案は成立し、平成12年4月より施行された。
介護保険制度の保険者は、市町村等であり、介護保険料の賦課徴収、介護認定審査会を設置し、申請のあった被保険者に対して要介護認定を行い、保険給付の要否と給付額を決定すること、介護保険事業計...