日本の被り物ついて
婚姻儀礼、葬送儀礼、宮参り儀礼、成巫儀礼は「通過儀礼」。婚姻と葬送、この二つの共通のものは、人とその魂を、家や世界から切り離すことである。そのために移行する二つの位相の間に特殊な位相を挿入し、そこを渡る途上に位相を区切ってその境を越え、またそのお魂を家や内世界から切るための儀礼が行なわれるのである。宮参りと成巫、出生児が誕生後、何十日を経って産屋を出て、氏神、産土神に参詣する宮参りの意味である。
婚姻儀礼
花嫁が実家を出るときから婚家に入るまでの過程で行われる儀礼。以下のように四つの過程に分かれている。一つめは実家を出るときに行われる出立の儀礼。二つめは実家から婚家に到るまでに行われる儀礼。三つめは婚家に入るときに行われる入家の儀礼。四つめは婚家で行われる儀礼。
出立の儀礼
①嫁は実家にいるときに祖先や氏神への挨拶をする。②嫁は両親と別れて、戸口で後ろ向きになり、みんなに押しでされて家を出る。嫁は仲人を先頭に婿方に着くと、また、入り口で後ろ向きになってはいる。③嫁が実家を出るとき、むしろを外に巻き出し、たいまつを焚いて送る。④嫁は親兄弟と水もりを交わして表座敷の真正面から迎え人、送り人に せられて実家を去る。これは二度と帰らぬ意味を含めている。そして家人が嫁を送るときには「行きよー」「イモレヨー」と言う。これは行った切りで帰ってくるなという意味。⑤嫁が実家から出るときには、縁から出る。二度と家に戻ることがないようにという意味。⑥嫁が実家を出るときには、オモテの縁から出る。そのあとで、いっきに座敷を掃き出す。また門口ではわら一束を焚き、これに魚の頭を入れて焼く。⑦嫁が実家を出るときは、焼キ出シといって を外向きにしてたいて送り出す。⑧嫁が出ると、メカゴをころがして座敷を刷きだし、二度と帰らないという意味。⑨出発と同時に、その家では、娘が使用していた茶碗を割り、箸は二つに折り棄てる風習がある。
2、実家から婚家へ
基本的には花嫁の衣装は白衣で、白布、カツギ、絹帽子、 笠などを被る。①嫁は、布の帽子をかぶり、手ぬぐいで口をおおって、ヨメガサをかぶって嫁に来る。② 笠を頂いて静静と練って来る。③綿ぼうしをかぶり白装束で自分の家の玄関から出る。これは家を死んで出ることを意味すること。④嫁以下送り迎いの婦人は極上等の絹織の正装の上に極上の細い芭蕉の繊維で えた白衣を羽織り、頭には同じ純白の芭蕉布頭巾を被ったものである。
①嫁入りの道中に、特に青年が祝いまつりとして高い所から花嫁に水を掛ける。②ツブシといって、行列に石を投げたり雪球を投げたりする。③嫁が婚家まで歩く道で若者たちが、祝いといって塩をかける。④ササミンカケといって、結婚の行列に笹水をかけるいたずらがある。他部落にとつぐ行列には泥水をかける。⑤婚礼の行列が通る道に縄を張って通路のさまたげをする。⑥嫁は入り道中に障害物をつくり、道中をおびやかす風習がある。これは、障害物は必ず嫁入り道中の従者が取り除く。⑦途中に、部落境などで嫁の に出会うと仲人が祝儀をやり、通らせてもらう。
3、入家の儀礼
婚家に到着して、入家に際して、次のような儀礼がある。
①豆木をたいた庭火をまたいで入り、すげ笠をかぶせられ、麻からの門をくぐる。待女房の案内でしゅうとめと水 を交わし、ドボウグチより家に入る。②嫁が婿の家に着くと、ゴサノマの廊下からしゅうとめが抱き上げる。このとき嫁に笠をかぶせ、箕で後ろからあおいでやる。③嫁が板の間から上がるとき、鍋フタカブセの歌を歌って、嫁の頭に鍋ふたをかぶせる。
日本の被り物ついて
婚姻儀礼、葬送儀礼、宮参り儀礼、成巫儀礼は「通過儀礼」。婚姻と葬送、この二つの共通のものは、人とその魂を、家や世界から切り離すことである。そのために移行する二つの位相の間に特殊な位相を挿入し、そこを渡る途上に位相を区切ってその境を越え、またそのお魂を家や内世界から切るための儀礼が行なわれるのである。宮参りと成巫、出生児が誕生後、何十日を経って産屋を出て、氏神、産土神に参詣する宮参りの意味である。
婚姻儀礼
花嫁が実家を出るときから婚家に入るまでの過程で行われる儀礼。以下のように四つの過程に分かれている。一つめは実家を出るときに行われる出立の儀礼。二つめは実家から婚家に到るまでに行われる儀礼。三つめは婚家に入るときに行われる入家の儀礼。四つめは婚家で行われる儀礼。
出立の儀礼
①嫁は実家にいるときに祖先や氏神への挨拶をする。②嫁は両親と別れて、戸口で後ろ向きになり、みんなに押しでされて家を出る。嫁は仲人を先頭に婿方に着くと、また、入り口で後ろ向きになってはいる。③嫁が実家を出るとき、むしろを外に巻き出し、たいまつを焚いて送る。④嫁は親兄弟と水もりを交わして表座敷の...