大阪芸術短期大学の単位取得試験です。
★遺伝と環境
生物として生得能力の遺伝子を持ち人間も生まれる。
ポルトマンは、人間の新生児を生理的早産の状態で生まれると考えた。大きな大脳が大き
な学習能力の可能性をもつ未熟な「脳なし」状態で生まれるが故に、ゆっくり発育し後天
的に様々な能力を獲得していくことを可能にしたとしている。
近代以前、人間の発達は、遺伝によって決定されると信じられていた。近世半ばから環境
による経験論的発達の可能性を認める人間観が成立してくる。日本の「氏より育ち」、ヨー
ロッパでは、新生児の心を白紙(タブラ・ラサ)に見立て、人間の精神はすべて経験を通
して後天的に形成されるというロックの理論である。
発達における遺伝的要因と環境的要因の関与について様々な研究がなされ、ゴルドンの遺
伝の優位性の立証研究、ニュートンの異なる環境での成育歴をもつ一卵性双生児の研究は
有名である。現代は、ひとりの人間の中で遺伝的要因と環境的要因は相互に影響しあって
発達を支えており、教育は、生得的能力の個性差も認めつつ環境によって人は発達する事
実認識に重きをおく営みである。遺伝による生得的能力を身体内遺伝系とすると、人類の...