2019年度から新設された英語文学1(PK2032)の合格レポートです。
前年度までの英米文学1と課題は一緒なので、そちらを履修されている方にも役立ちます。
【評価】
「あなたの文章は大変読みやすく、普段からまとまった文学作品を読みこなしたり評論したりする活動に慣れていらっしゃる人のもののように感じました。」という高評価のコメントをいただき、優で単位取得できました。
【課題】
1.「すべての人間は平等につくられている」という独立宣言の根本理念には、多くの矛盾が含まれていたと言われていますが、それはどのような矛盾でしょうか。具体例を複数提示しながら簡潔に説明してください。また、その矛盾がアメリカ文学の中でどのように描かれてきたのか、一例として黒人の描かれた作品や黒人作家の作品を取り上げ、歴史上で重要な出来事(南北戦争、ハーレム・ルネッサンス、公民権運動等)と複数の作家の作品に言及しながら通時的に論じましょう。
2.テキストで取り上げられている作品の中から、あなたが重要と考える作品を1つ選び、なぜその作品が重要だと思うのか論じてください。作品のテーマや特徴、影響関係などに加えて、自分自身が関心をもった理由やその作品について学ぶ意義についても触れるようにしてください。
選択作品:Mark Twain 『 Adventures of Huckleberry Finn 』
参考文献:『シリーズ・初めて学ぶ文学史② はじめて学ぶアメリカ文学史』板橋好枝・高田賢一編著(ミネルヴァ書房)
英語文学1 2 単位目
(1) 1776 年、アメリカは「独立宣言」を発表した。「 すべての人間は平等につくられている」という基本理念が 13 自治体で共有されていたが、「 すべての人間」の中には黒人やアメリカ先住民は含まれていなかった。具体例の一つとして、「五分の三」条項が挙げられる。奴隷制を経済の基盤とする南部諸州では、黒人五人を白人三人として算定すると憲法に明記されたのである。黒人一人を五分の三人として計算するこの条項は、黒人が人間として当然持つべき権利を持つものとはされず、人種差別の対象となっていたことを示す代表例である。また、アメリカ・インディアンに対する悲惨な仕打ちも例として挙げられる。ピューリタン時代から「悪魔の手先」という偏見あるレッテルを貼られてきたアメリカ・インディアンは、開拓という名目で居住地の強奪や大虐殺されるという仕打ちを受けた。更に、これらの仕打ちを行った白人は、彼らの駆逐を「明白な天命」という幻想のもと正当化したのである。その後、南北戦争を経て奴隷制度は廃止されたが、未だに人種差別は残っていた。そんな中、19 世紀後半から人種差別に言及した作品が登場し始...