刑法における因果関係とは、構成要件上の事実において、一定の行為がなされなければ、一定の結果は発生しなかったであろうという関係である。つまり実行行為があり、構成要件的結果が発生すれば、必ず既遂犯が成立するわけではなく、この行為が原因となってその結果がもたらされたと刑法的に評価できること、すなわち因果関係が認められることが既遂犯を問うのに必要である。そこで、どのような場合に実行行為と結果との間に刑法上の因果関係が認められるかが問題となる。
まず条件説があげられる。この説は、その行為がなかったならば、その結果は生じなかったであろうという条件関係が存在する限り、刑法上の因果関係を認めるというものであ...