セネカの著書の『生の短さについて』に記載されている内容に関しての批判、疑問点を自分なりに論じたレポート。
後悔なく死ぬための生き方
セネカは、著作である『生の短さについて』の中で、人生を長く生きるための正しい生
き方について説いている。しかしその中には個人的に納得できない部分が存在する。そこ
でまず、彼の概念をまとめた上で、私が疑問に感じることについて論じようと思う。
セネカによれば、人間の「生」は正しい使い方を知れば長くなるのだが、多くの者は浪
費しており、短いという。そして、その原因は「誰もが永遠に生き続けられると思って生
き、己のはかなさが脳裏をよぎることもなく、すでにどれほどの多くの時間が過ぎ去って
しまったか、気にもとめないからである」(セネカ,大西訳,『生の短さについて』,岩波文
庫 2010,p17)と彼は主張する。そのため、人は誰かのため、何かのために消費している
その1日が人生最後の日になるかもしれない状況下で、あたかも有り余るほどあるかのよ
うに人生を消費している。それゆえ、未来があることが当たり前だと考え、毎日労働に束
縛される生活を送る者、他人のために時間を費やす者といった、いわゆる忙殺される人間
が出てくる。また、「人は皆、あたかも死すべものであるようにすべて...