幼少期から形成される道徳判断について

閲覧数4,265
ダウンロード数4
履歴確認

    • ページ数 : 4ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    道徳教育の理論と実践
    「幼少期から形成される道徳判断について」
    人は他者の行為を解釈する手がかりとして、行為の背後にある相手の意図を探ろうとする。他者の行動の善悪を判断する際には、そのような意図の解釈は重要であり、法律においても事件や事故が故意になされたかどうかは行為者の責任の重さを考慮する上で重要な手がかりとなる。また、子供たちは日常生活において、さまざまな対人葛藤場面に遭遇する。つまりたとえ相手から損害を被ったとしてもそれが過失であれば許すが、故意に危害を加えられたならば抗議する。いうように相手の意図に応じて柔軟に対応することは重要な社会的スキルの一側面である。児童期において年齢とともに道徳的判断の手がかりとして意図情報が用いられるようになることがピアゼをはじめとしてさまざまな研究者によって示されている。さらに、近年これらの研究は幼児期の子供を対象に行われるようになってきた。そこで、今回はそのように道徳判断において糸状法を考慮するようになる発達プロセスを先行研究のレビューを元に概観し、幼児の道徳判断において意図を考慮する能力に商店を当てて考察する。
     道徳判断における意図や動機の影響という問題に関して先駆的な研究をしいたのがピアジェである。ピアジェは次のような例話を用いて子供の道徳判断の半立つ段階を明らかにしようとした。
    A:ジャンという小さな男の子が部屋の中にいました。ジャンは食事中に呼ばれたので、食堂に入っていこうとしました。ところが扉の向こう側にあった椅子の上にはお盆が置いてあって、そのお盆にはコップが15個のせてありました。ジャンは扉の向こうにそんなものがあるとは知らず扉を開けたので、コップは15個ともみんな割れてしまいました
    B:アンリという小さな男の子がいました。ある日、お母さんの留守に戸棚のジャムを食べようとしました。そこで椅子の上に昇って腕を伸ばしましたが高すぎてジャムまで手が届きません。無理にとろうとしたとき、そばにあった1個のコップにさわったので、そのコップは落ちてわれました。
    Aは中立的な動機から大きな被害をもたらした場合であり、Bはよくない動機から生じたが小さな被害しかもたらさなかった場合である。ピアジェは、子供にこれらの2つの例話を聞かせた後、AとBのどちらがより悪いか、またなぜそう思ったかを述べさせて、子供の反応を結果として生じた被害の大きさに注目してAをより悪いとみなす客観的責任制の段階と、意図や動機を考慮してBをより悪いとみなす主観的責任性の段階とに分類した。
    ピアジェは、6歳から10歳までの子供100名ほどにインタビューを行ったところ、客観的責任性の段階から主観的責任性の段階への移行はおよそ7歳ごろに起こり、用いる例話によって違いがあるものの、10歳以降の子供には客観的責任性は見られなくなることを示した。これに従えば、6歳以前の子供は意図よりも結果を重視した判断をするということになるが、だからといって6歳児が意図や動機を理解していないというわけではなく、6歳で未だ客観的責任性の段階にあると分類された子供の中にも、意図や動機に言及していた子供が存在していた。彼らは意図や動機に気づいてはいたが最終的に結果の大きさにより注目したのである。しかしながら、前述のピアジェの研究は、あくまでも客観的責任性から主観的責任性への移行期を明らかにすることを目的にしており、意図や動機の理解そのものに焦点が当てられていたものではなかった。そもそもピアジェは意図と動機の区別を明確には行ってはおらず、前述の例話に明らかなように、彼の

    タグ

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    道徳教育の理論と実践
    「幼少期から形成される道徳判断について」
    人は他者の行為を解釈する手がかりとして、行為の背後にある相手の意図を探ろうとする。他者の行動の善悪を判断する際には、そのような意図の解釈は重要であり、法律においても事件や事故が故意になされたかどうかは行為者の責任の重さを考慮する上で重要な手がかりとなる。また、子供たちは日常生活において、さまざまな対人葛藤場面に遭遇する。つまりたとえ相手から損害を被ったとしてもそれが過失であれば許すが、故意に危害を加えられたならば抗議する。いうように相手の意図に応じて柔軟に対応することは重要な社会的スキルの一側面である。児童期において年齢とともに道徳的判断の手がかりとして意図情報が用いられるようになることがピアゼをはじめとしてさまざまな研究者によって示されている。さらに、近年これらの研究は幼児期の子供を対象に行われるようになってきた。そこで、今回はそのように道徳判断において糸状法を考慮するようになる発達プロセスを先行研究のレビューを元に概観し、幼児の道徳判断において意図を考慮する能力に商店を当てて考察する。
     道徳判断における意図や動機の影...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。