2018年刑法課題3

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    1.問題の所在
    Xが就寝中のAの首を麻縄で絞め、その後、Aが既に死亡したものと錯誤のもと、犯行の発覚を防ぐ目的で海岸の砂浜に放置し、砂の吸引による窒息により死亡させたことについて、行為者X自身の行為が介入した場合に、実行行為をどのように認定し、結果としての因果関係をいかに判断するのかが本事例の問題の所在である。
    2.因果関係の錯誤
    行為者の認識と発生事実とは、一致するが、行為者の予見しない因果関係の経路をたどって犯罪事実が生じた場合を因果関係の錯誤という。因果関係の錯誤は、因果関係の存在を前提とすることから、すでに因果関係が否定される場合には問題とならず、結果(法益侵害・危険)との因果関係が肯定されて場合に、なお行為者とのズレを問題として、故意阻却が認められるかが問題となる。
    故意には、構成要件的結果の認識という要素と実行行為の性質の認識という要素の2つが必要であり、とくに、自己の行為がどのように展開していくかという実行行為の性質が問題となり、客観的な「危険の現実化」と自己の認識していた「危険の現実化」との間に本質的な差異が認められる場合には故意が阻却される可能性があるが、本事例におい...

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