1 目的
光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子(光センサ)に、太陽電池、フォトダイオード、フォトトランジスタなどがある。ここでは、光センサの中の光導電セル、フォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオードの特性を測定することにより、光導電効果、光気電力効果を理解する。
2 理論
2.1 光導電セル
光の入射によって電気抵抗値が変化する光導電効果は、古くから実用されてきた。半導体のPN接合に光を照射すると、正孔‐電子対が発生し、外部回路に電流が流れる。この電流を光電流と呼ぶ。入射光による光電流の増加分をΔIとすると
で表される。ここで、qは電子の
電荷、Gは光利得係数、Vは単位
体積、Sは素子の断面積、Lは素
子の長さである。
図2.1に、その代表的な素子であ
る。Cdsセルの構造を示す。
2.2 フォトトランジスタ
半導体PN接合に光を照射すると電子‐正孔対が励起される。この励起されたキャリアはPN接合に接続された外部回路に電流を生じさせる。この電流を光電流と呼び、このような半導体素子をフォトダイオードと呼ぶ。また、励起された電子‐正孔対が光電流となるには、、再結合する前に速やかに分離する必要がある。従って、空乏層が広いPN接合の方が、電子‐正孔対を生じさせる効率が高い。
フォトダイオードの出力を増す為に
トランジスタを付加した素子をフォト
トランジスタという。
図2.2にフォトトランジスタの断面
図を示す。
ベース・コレクタ間のPN接合が受
光部であり、ここで励起された電子‐
正孔対がベース電流となる。このベー
ス電流がβ倍されてコレクタ電流になるので、β倍程度感度が上昇することになる。
2.3 アバランシェフォトダイオード
アバランシェフォトダイオードは、アバランシェ降伏領域で作動フォトダイオードである。アバランシェ降伏とは、PN接合の降伏点近くの逆バイアスを印加している場合に、電位が非常に高く、電子‐正孔対が生成されやすく、急激に電流が流れる現象である。このとき生じる電子と正孔と特にホットエレクトロン、ホットホールと呼び、エネルギーが高く次々と電子‐正孔対を生成していくので、光電流が増幅される。
3 実験装置
光電効果実験装置 (島津理科器機 PN-5)
白熱電球
スライダック
照度計
Cdsセル (P380)
最高感度波長 620nm γ特性 0.85(100~1Lx)
最大印加電圧 DC250V 最大許容損失 0.05W
フォトトランジスタ
最高感度波長 800nm 最大コレクタ・エミッタ間電圧 45V
最大エミッタ・ベース間電圧 6V コレクタ損失 75mW
アバランシェフォトダイオード
最高感度波長 800nm ブレークダウン電圧 120~300V
暗電流 0.1~2nA 受光面積 0.03mm
4 実験方法
4.1 Cdsセルの特性
(1)測定レンジを0.1μAにセットし、直流電流計の振れを0にする。
(2)遮光ケースにCdsセルを差込み、光源との距離を50~60cmにする。
(3)照度が10Lxと300LxのときのVccの変化による光電流Ipの変化を測定する。
※実際の実験回路では図4.1のような回路を用いているので、実際のCdsの電圧Vcは次式のようになる。
4.2 フォトトランジスタの特性
(1)測定レンジを0.1μAにセットし、直流電流計の振れを0にする。
(2)遮光ケースにフォトトランジスタ基盤を差込み、光源との距離を50~60cmにする。
(3
1 目的
光エネルギーを電気エネルギーに変換する素子(光センサ)に、太陽電池、フォトダイオード、フォトトランジスタなどがある。ここでは、光センサの中の光導電セル、フォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオードの特性を測定することにより、光導電効果、光気電力効果を理解する。
2 理論
2.1 光導電セル
光の入射によって電気抵抗値が変化する光導電効果は、古くから実用されてきた。半導体のPN接合に光を照射すると、正孔‐電子対が発生し、外部回路に電流が流れる。この電流を光電流と呼ぶ。入射光による光電流の増加分をΔIとすると
で表される。ここで、qは電子の
電荷、Gは光利得係数、Vは単位
体積、Sは素子の断面積、Lは素
子の長さである。
図2.1に、その代表的な素子であ
る。Cdsセルの構造を示す。
2.2 フォトトランジスタ
半導体PN接合に光を照射すると電子‐正孔対が励起される。この励起されたキャリアはPN接合に接続された外部回路に電流を生じさせる。この電流を光電流と呼び、このような半導体素子をフォトダイオードと呼ぶ。また、励起された電子‐正孔対が光電流となるには、、再結合する...