国文学概論 合格レポートです。
「雨月物語と愛卿伝」
参考用としてご使用ください。
上田秋成によって江戸時代後期に著わされた読本、「雨月物語」巻之二「浅茅が宿」は明代の伝奇「剪灯新話」の一話「愛卿伝」を原拠として書かれている。これは「愛卿伝」から直接語が取られていることによって知ることができる。「剪刀新話」は中国明代、銭塘の人瞿佑の著になる怪異小説集で唐代に始まる文語の小説体である伝奇体をもって書かれた二十一の短篇から成る小節で、多くは男女の恋にまつわる怪異を題材としており、近世初期に渡来して以来、日本の近世小節に大きな影響を与えていた。この「剪灯新話」の巻之三「愛卿伝」はすでに浅井了意によって「御伽婢子」に「藤井清六遊女宮城野を娶る事」と題して翻案されており、「浅茅が宿」は「御伽婢子」をも参照している。また、「万葉集」巻九にある高橋連虫麻呂の真間の手児奈の歌もモチーフのひとつになっている。この物語では最後に、「愛卿伝」にはあった生まれ変わりのエピソードが省略され、代わりに「愛卿伝」の構成とは一見関係のない「真間の手児奈伝説」を置いている。舞台を下総の真間に置いたことや、勝四郎の帰郷に際して、真間の継橋を織り込むなどの配慮があったことから、ここで真間の手児奈伝説を出す...